債権回収
クライアントから未払いが続く場合の対象法
クライアントの未払いに直面したあなたが、取るべき正しい行動をすべて網羅的に解説します。単なる督促方法にとどまらず、未払いの原因を徹底的に分析し、法的な手段を理解し、最終的に確実に債権を回収するための、圧倒的な情報量と質を兼ね備えた完全ガイドです。

「クライアントから何度催促しても、代金が支払われない…」「連絡を無視され、このまま泣き寝入りするしかないのか…」
しかし、多くの事業者は「どうすればいいか分からない」「関係を壊したくない」といった理由から、問題を放置し、最悪の場合、諦めてしまうことも少なくありません。
この記事は、そんなあなたの悩みを解決するために作られました。

第1章:クライアントはなぜ支払わない?未払い原因の徹底解明

1-1. 資金繰りの悪化(支払う意思はあるが、能力がない)
- 特徴:
- 担当者からの連絡が途絶えがちになる。
- 支払いを先延ばしにしようと、様々な理由をつけてくる(「今月は厳しくて…」「来月には必ず」)。
- 他の取引先への支払いも滞っている可能性がある。
1-2. 意図的な不払い(支払う意思がない)
- 特徴:
- 「成果物が期待外れだった」「サービス内容が契約と違う」など、後からクレームをつけてくる。
- 連絡をしても意図的に無視される。
- 責任者が話し合いに応じようとしない。
- 会社の実態が不明瞭である(事務所が実在しない、連絡先が虚偽など)。
1-3. 単なる人的ミス(支払う意思も能力もある)
- 特徴:
- 連絡をすればすぐに状況が確認でき、謝罪のうえで迅速に支払いが行われる。
- 担当者が変わった、組織変更があったなどの理由で、情報共有がうまくいっていない。
1-4. 製品・サービスへの不満(契約上のトラブル)
- 特徴:
- 具体的な問題点を指摘してくる。
- 不備を改善するまで支払いを拒否する、あるいは代金を減額しようと交渉してくる。

第2章:未払い発生!最初にやるべき5つの鉄則

2-1. 【STEP 1】事実関係の確認と最初の督促
- 電話での連絡: まずは電話で担当者に直接連絡し、支払い状況を確認しましょう。「請求書は届いていますでしょうか?」「お支払いはいつ頃になりますか?」と丁寧かつ明確に伝えます。
- メールでの連絡: 電話がつながらない場合や、言った言わないのトラブルを避けるために、メールでも連絡を入れます。件名に「【重要】お支払いに関するご確認」などと入れて、確実に相手に読んでもらうように工夫しましょう。
- 請求書の再送付: 相手が「請求書が届いていない」と言う可能性も考慮し、PDF形式で請求書を再送付します。この際、メールに「再送付いたします」と添えることで、相手のミスであることをやんわりと示唆します。
2-2. 【STEP 2】書面での本格的な督促
- 督促状(催告書)の送付: 内容を問わず、支払いを促す書類を送付します。この時点では法的な強制力はありませんが、支払いの意思がない相手に対し、自社が本気で回収するつもりであることを示せます。
- 内容証明郵便の活用: 督促状は、内容証明郵便で送付するのが一般的です。これは、「いつ、誰が、誰に、どのような内容の文書を送ったか」を郵便局が公的に証明してくれるサービスです。
2-3. 【STEP 3】債権の証拠をすべて整理する
これらの証拠がなければ、裁判で債権の存在を証明することは非常に困難です。
2-4. 【STEP 4】相手の経営状況を調査する
- 登記簿謄本の取得: 法務局で会社の登記簿謄本を取得すれば、会社の商号、所在地、役員構成、設立年月日などを確認できます。
- インターネット上の情報: 会社のホームページ、SNS、業界のニュースなどを調べて、事業の実態や最近の動向を確認します。
- 与信調査会社: 専門の与信調査会社に依頼して、相手の財務状況や取引履歴を詳細に調べることも有効です。

第3章:法的に考える!未払い代金は「売掛金債権」

3-1. 売買代金債権(売掛金)とは
商品を販売したり、サービスを提供したりしたものの、代金がまだ支払われていない場合に発生する債権です。
- 売買代金債権(売掛金)の一例:
- 卸売業者が小売店に商品を納品した際の代金。
- ウェブ制作会社がクライアントにホームページを納品した際の制作費。
- システム開発会社がクライアントにソフトウェアを納品した際の開発費用。
3-2. 請負代金債権とは
仕事の完成を約束して、その報酬として代金を受け取る場合に発生する債権です。
- 請負代金債権の一例:
- 建築業者が建てた建物の工事代金。
- 内装工事会社の施工代金。
- 清掃業者が定期清掃を行った際の代金。
3-3. 債権の時効期間
時効の進行を止めるためには、内容証明郵便の送付や、裁判上の請求(訴訟の提起など)を行う必要があります。

第4章:自力交渉から法的手段へ|債権回収の全ステップ

4-1. 支払督促
裁判所から、債務者に対し支払いを命じる「支払督促」という書面を送ってもらう手続きです。
- メリット:
- 裁判所に出廷する必要がなく、書面上の手続きだけで済む。
- 訴訟よりも費用が安く、短期間で手続きが完了する。
- デメリット:
- 相手から異議申し立てがあった場合、通常の訴訟に移行する。
- 相手の住所が不明な場合は利用できない。
4-2. 少額訴訟
60万円以下の金銭の支払いを求める場合に利用できる、簡易な訴訟手続きです。
- メリット:
- 原則として1回の審理で結審し、即日判決が出ることが多い。
- 手続きが簡単で、弁護士を立てなくても対応しやすい。
- デメリット:
- 相手が少額訴訟の利用に同意しない場合、通常訴訟に移行する。
- 金額が60万円を超える場合は利用できない。
4-3. 民事調停
裁判所の調停委員が間に入り、当事者同士の話し合いを仲介する手続きです。
- メリット:
- 裁判所の手続きでありながら、話し合いで解決するため、柔軟な解決策を見出せる。
- 訴訟に比べて費用が安く、手続きも簡単。
- デメリット:
- 相手が調停に出席しない場合や、合意に至らない場合は解決できない。
4-4. 通常訴訟
少額訴訟では扱えない高額な債権や、複雑な争点がある場合に利用する、最も一般的な裁判手続きです。
- メリット:
- 裁判所が強制的に判断を下すため、最終的な解決が可能。
- 金額や争点の制限がなく、どのような事案でも利用できる。
- デメリット:
- 審理に時間がかかり、数ヶ月から数年に及ぶこともある。
- 費用が高額になりやすい。
4-5. 強制執行
支払督促や訴訟で「判決」や「調停調書」といった債務名義を得た後、債務者の財産を差し押さえて、強制的に債権を回収する最終手段です。
4-6. 表で見る債権回収方法の比較
債権回収方法 | 特徴 | メリット | デメリット |
任意交渉 | 弁護士を通さない当事者間の話し合い | 費用がかからない、関係維持の可能性 | 時間がかかる、相手が応じない場合無力 |
内容証明郵便 | 郵便局が内容を証明する書面 | 心理的プレッシャー、時効の完成猶予 | 法的強制力はない、費用がかかる |
支払督促 | 裁判所からの支払命令 | 迅速、低費用、裁判所への出廷不要 | 相手が異議を唱えると訴訟に移行 |
少額訴訟 | 60万円以下の債権を扱う簡易な訴訟 | 迅速、手続きが簡単、費用が安い | 相手が同意しないと通常訴訟に移行 |
民事調停 | 裁判所の仲介による話し合い | 柔軟な解決、費用が安い | 相手が応じないと解決できない |
通常訴訟 | 一般的な裁判手続き | どのような債権でも利用可能、確実な解決 | 時間と費用がかかる、手続きが複雑 |
強制執行 | 裁判所による強制的な財産差し押さえ | 確実な回収、相手の財産を強制的に換金 | 手続きが複雑、費用がかかる |

第5章:原因別|クライアントの未払いに最適な回収戦略

5-1. 【原因:資金繰り悪化】の場合の戦略
- 交渉のポイント:
- 分割払いの提案: 債務者の財務状況を考慮し、現実的な分割払いの返済計画を提案します。
- 債権の一部免除(和解): 一部の債権を免除する代わりに、残りを確実に支払ってもらう交渉をすることも一つの手です。
- リスケジュール(返済条件の変更): 一定期間の返済猶予を設け、その間に経営再建を促す方法です。
- 公正証書の作成: 合意した返済計画は、公正証書として作成しておきましょう。これにより、後日相手が再び支払いを滞らせても、裁判を経ずに強制執行が可能になります。
5-2. 【原因:意図的な不払い】の場合の戦略
- 交渉のポイント:
- 「内容証明郵便」で強い姿勢を示す: 口頭やメールではなく、内容証明郵便で法的な意思表示をすることで、相手にプレッシャーをかけます。
- 早期の法的措置: 相手の資産が散逸してしまう前に、早めに支払督促や訴訟などの法的手段に移行します。
- 証拠の徹底収集: 詐欺や横領の可能性も視野に入れ、警察への相談も視野に入れながら、徹底的に証拠を集めます。
5-3. 【原因:製品・サービスへの不満】の場合の戦略
- 交渉のポイント:
- 不満点の正確な把握: 相手の不満点が、契約内容と照らし合わせて妥当なものかを確認します。
- 契約の再確認: 契約書や見積書を再確認し、自社の提供した製品・サービスに契約違反がないかを確認します。
- 和解・減額の交渉: 不備があった場合、その是正や、代金の一部減額に応じることで、円満な解決を目指します。ただし、安易に応じず、不備の程度に応じて合理的な範囲で交渉します。

第6章:回収を左右する「証拠」の集め方と管理術

6-1. 取引開始から未払い発生までに集めるべき証拠
- 契約書・発注書:
- 重要度: 最高
- 理由: 取引の法的根拠であり、支払うべき金額や期日、サービス内容が明記されています。
- 請求書・納品書・受領書:
- 重要度: 高
- 理由: 請求の事実と、相手が商品やサービスを確かに受け取った事実を証明します。
- メール・チャット・通話記録:
- 重要度: 高
- 理由: 口頭でのやり取りを証明する貴重な証拠となります。「言った言わない」のトラブルを避けるために、重要なやり取りは書面でも残すようにしましょう。
- 議事録・打ち合わせメモ:
- 重要度: 中
- 理由: サービス内容の変更や、支払いに関する口頭での合意内容を証明します。
6-2. 証拠が不十分な場合の対処法
- 「貸付金」の場合: 契約書がなくても、LINEやメールでのやり取り、銀行振込の記録、通話録音など、お金を貸した事実と返済を約束した事実を証明できる証拠を徹底的に集めます。
- 「サービス代金」の場合: 納品書や請求書がない場合でも、メールでの納品報告や、相手からの「ありがとう」「問題ない」といった返信、相手のウェブサイトに自社が制作したものが掲載されている事実などが証拠となります。

第7章:自力回収のリスクと弁護士に依頼すべき理由

7-1. 自力での回収が抱えるリスク
- 非弁行為: 弁護士資格を持たない人が、他人の債権回収を代行することは「非弁行為」として法律で禁止されています。これは、あなたが他社の債権回収を代行する場合だけでなく、知人や親族の債権を代わりに回収してあげる場合も当てはまります。
- 違法な取り立て: 無理な取り立て行為は、恐喝罪や強要罪などの刑事罰の対象となります。
- 時効の完成: 法律の知識がないまま交渉を続けているうちに、時効が完成してしまうリスクがあります。
- 時間と手間の浪費: 債務者との交渉や裁判手続きは、膨大な時間と手間がかかります。本業に支障をきたし、かえって大きな損失に繋がることがあります。
- 精神的負担: 債務者との直接的なやり取りは、大きな精神的ストレスとなります。
7-2. 弁護士に依頼するメリット

FAQ|よくあるご質問

Q1:口約束でも未払い代金は回収できますか?
契約は必ずしも書面で行わなければならないわけではありません。口約束でも契約は成立します。ただし、契約書がない場合は、客観的な証拠(メールやチャットでのやり取り、通話録音、振込履歴など)がより重要になります。これらの証拠を積み重ねて、契約の事実を証明していくことになります。
Q2:クライアントが倒産しそうな場合、どうすればいいですか?
相手が倒産した場合、債権回収は極めて困難になります。倒産手続きが始まる前に、早めに仮差押えなどの保全手続きを行う必要があります。また、相手が自己破産や民事再生などの法的整理手続きに入った場合、債権者は債権者集会に参加し、債権の届け出を行う必要があります。このような状況では、弁護士に早急に相談し、適切な手続きを取ることが不可欠です。
Q3:弁護士に依頼するタイミングはいつがベストですか?
内容証明郵便を送っても反応がない場合や、金額が高額な場合も、できるだけ早く弁護士に相談すべきです。早めに弁護士に依頼することで、債務者の財産が散逸するのを防ぎ、回収の成功率を高めることができます。

結論|あなたの債権、弁護士に依頼して回収しましょう!

クライアントからの未払いは、事業の継続を脅かすだけでなく、あなたの時間と精神力をも消耗させます。
自力での回収は、時効の完成や、違法な取り立てによるリスクを伴い、かえって事態を悪化させる危険性があります。
一人で悩みを抱え込まず、今すぐ弁護士に相談しましょう。

【補足:成功報酬で債権回収するならXP法律事務所とは】
XP法律事務所は、債権回収を成功報酬で行います。
ご興味ある方は下記から相談

FAQ
①売掛保証・債権保証とは?
売掛保証とは、企業が商品やサービスを販売した際に発生する売掛金(未回収の代金)が、取引先の倒産や支払い遅延などで回収できなくなった場合に、保証会社や保険会社がその損失を補償してくれるサービスです。
これは、債権保証とも呼ばれ、企業の資金繰り安定や貸倒れリスクの軽減を目的としています。売掛保証を導入すれば、安心して新規取引や大口契約に挑戦でき、事業拡大を後押しする効果が期待できます。いわば、会社の売上を守る「安心の保険」のようなものです。
申し込みはこちら:https://toshika-lp.protocol.ooo/protocol-deal
②債権回収・未払い回収とは?
債権回収とは、企業や個人が、商品やサービスの提供、または貸付などによって発生した「債権」(お金を受け取る権利)について、約束の期日になっても相手方(債務者)から支払いがない場合に、そのお金を取り戻すための一連の活動を指します。
具体的には、支払いの催促(督促)、交渉、そして最終的には法的手段(内容証明郵便の送付、少額訴訟、通常訴訟、強制執行など)を通じて、未回収の資金を回収するプロセスです。会社の資金繰りを健全に保つ上で非常に重要な業務です。
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