債権回収
口約束でも大丈夫?未払いの証拠集めと交渉のポイント
口約束でも未払い債権を回収するための、あらゆる証拠の集め方と交渉のポイントを、圧倒的な情報量と質で徹底的に解説します。

「契約書がない、口約束だけの仕事。本当に代金を支払ってもらえるだろうか…」
「メールやチャットのやり取りは残っているけれど、これだけで未払い分を回収できるのか不安…」
しかし、万が一未払いトラブルに発展したとき、「証拠がないから」と諦めてしまうケースが非常に多いのです。
この記事は、そのようなあなたの不安を解消するためにあります。

第1章:口約束でも契約は成立する!契約の基本原則と債権回収の根拠

多くの人が勘違いしていますが、日本の法律では、契約は必ずしも書面で交わす必要はありません。
1-1. 契約の基本原則「諾成契約」
日本の民法では、契約は「当事者双方の意思表示の合致」によって成立します。これを「諾成契約(だくせいけいやく)」と言います。
つまり、あなたが「この仕事を請け負います」と伝え、相手が「お願いします」と返事をした時点で、すでに契約は成立しているのです。
1-2. なぜ「口約束」だとトラブルになるのか?

第2章:口約束・証拠が不十分な状況でも債権を証明するための証拠集め術

2-1. 【STEP 1】最も強力な「デジタル証拠」を徹底的に探す
- メール:
- 件名と本文: 「ご依頼の件」「お見積り書」といった件名や、具体的な依頼内容、報酬額、納期のやり取りが記載されたメールは、有力な証拠となります。
- 添付ファイル: 見積書や企画書、請求書など、口頭で合意した内容が書面化されている添付ファイルは、極めて重要な証拠です。
- ビジネスチャット(Slack, Chatworkなど):
- やり取り全体: プロジェクトの進捗管理、タスクの指示、質問と回答など、業務に関するやり取り全体が証拠となります。
- スタンプやリアクション: 「OKです」「承知しました」といったスタンプや返信も、相手が内容を承諾したことを示す証拠となります。
- SNS(Facebook, Instagramなど):
- ダイレクトメッセージ: 仕事の依頼ややり取りをダイレクトメッセージで行っていた場合、その記録は重要な証拠となります。
- ウェブサイトやポートフォリオ:
- 公開された実績: あなたが制作したウェブサイトやデザインが相手のサイトで公開されている場合、納品が完了した事実を証明できます。
2-2. 【STEP 2】音声証拠の収集
- 通話録音:
- 方法: ほとんどのスマートフォンには通話録音機能が標準で搭載されていませんが、録音アプリやICレコーダーを使って録音することは、法律上問題ありません(自己の会話を録音することは、原則として違法ではありません)。
2-3. 【STEP 3】間接的な証拠の収集と整理
- 銀行振込の履歴:
- 一部入金: 報酬の一部が支払われている場合、その振込履歴は「未払い債権が存在する」ことの強力な証拠となります。
- 第三者の証言:
- 同席者の証言: 打ち合わせに同席していた第三者がいる場合、その人物の証言も証拠となります。
2-4. 証拠整理のためのチェックリスト
証拠の種類 | 具体的な内容 | 証拠能力 |
契約書・覚書 | 交わしていれば最強の証拠 | ◎(最強) |
メール・チャット | 仕事の依頼、報酬、納期に関するやり取り | ◎(非常に高い) |
通話録音 | 口頭での合意内容が録音されているもの | ◎(非常に高い) |
請求書・領収書 | 請求の事実と金額を証明 | 〇(高い) |
納品書・受領書 | 納品が完了した事実を証明 | 〇(高い) |
銀行振込履歴 | 一部入金、取引履歴を証明 | △(補完的) |
第三者の証言 | 打ち合わせ内容などを補完 | △(補完的) |

第3章:証拠を武器に!未払い交渉を成功させる3つのポイント

3-1. 【ポイント1】事実に基づいた冷静な交渉
3-2. 【ポイント2】最終手段としての「法的措置」を匂わせる
- 「このままご入金が確認できない場合、やむを得ず、法的手段を検討せざるを得ません。」
- この段階で、内容証明郵便の送付や、支払督促の申立てといった具体的な手続き名に言及することで、相手に強いプレッシャーを与えられます。
3-3. 【ポイント3】弁護士への相談を迷わない
弁護士は、あなたの交渉を代理で行い、法的な裏付けをもって交渉を有利に進めてくれます。

第4章:交渉が失敗したら?口約束でも利用できる法的手段の全貌

4-1. 【手段1】支払督促
- メリット:
- 書面審査: 裁判所に出廷する必要がないため、手間がかかりません。
- 迅速かつ低コスト: 少額訴訟よりも費用が安く、短期間で手続きが完了します。
- 必要となる証拠: 口頭での合意内容を補完するメールやチャットの記録、請求書など。
4-2. 【手段2】少額訴訟
- メリット:
- 即日結審: 原則として1回の審理で結審し、即日判決が出ます。
- 簡易な手続き: 弁護士を立てなくても、比較的簡単に行うことができます。
- 必要となる証拠: 契約書がない場合でも、メールやチャット、通話録音などの証拠を提出することで、裁判官が判断を下します。
4-3. 【手段3】通常訴訟
- メリット:
- 最も強力: 裁判所が強制的に判断を下すため、最終的な解決が可能です。
- 必要となる証拠: 契約書がなくても、あらゆる証拠を積み重ねて、契約内容の存在と納品の事実を証明する必要があります。
4-4. 【手段4】強制執行
- 差し押さえの対象: 相手の銀行預金、売掛金、不動産、動産など。
- 口約束の場合: 裁判を通じて債務名義を得る必要があります。

第5章:自力での債権回収の限界と弁護士に依頼すべき理由

5-1. 自力回収の限界とリスク
5-2. 弁護士に依頼するメリット

第6章:弁護士費用と回収までの期間|現実的な見通し

6-1. 弁護士費用の相場
- 着手金: 弁護士に依頼する際に最初に支払う費用です。依頼する債権額に応じて決まることが一般的です。
- 報酬金: 債権の回収に成功した場合に支払う成功報酬です。回収額の一定割合(例:10~20%)で決まることが多いです。
(例)弁護士費用の目安(着手金+報酬金)
回収を希望する債権額 | 着手金の目安 | 報酬金の目安 |
30万円以下 | 5万円~10万円 | 回収額の16% |
50万円 | 7万円~12万円 | 回収額の16% |
100万円 | 10万円~20万円 | 回収額の16% |
300万円 | 20万円~40万円 | 回収額の10% |
500万円 | 30万円~50万円 | 回収額の10% |
1,000万円 | 40万円~70万円 | 回収額の8% |
※あくまで一般的な目安です。法律事務所によって異なります。
6-2. 回収までの一般的な期間

FAQ|よくあるご質問

Q1:口約束でも未払い代金は回収できますか?
契約は必ずしも書面で行わなければならないわけではありません。口約束でも契約は成立します。ただし、契約書がない場合は、客観的な証拠(メールやチャットでのやり取り、通話録音、銀行振込の記録など)がより重要になります。これらの証拠を積み重ねて、契約の事実を証明していくことになります。
Q2:相手が倒産しそうな場合、どうすればいいですか?
相手が倒産した場合、債権回収は極めて困難になります。倒産手続きが始まる前に、早めに仮差押えなどの保全手続きを行う必要があります。また、相手が自己破産や民事再生などの法的整理手続きに入った場合、債権者は債権者集会に参加し、債権の届け出を行う必要があります。このような状況では、弁護士に早急に相談し、適切な手続きを取ることが不可欠です。
Q3:弁護士に依頼するタイミングはいつがベストですか?
内容証明郵便を送っても反応がない場合や、金額が高額な場合も、できるだけ早く弁護士に相談すべきです。早めに弁護士に依頼することで、債務者の財産が散逸するのを防ぎ、回収の成功率を高めることができます。

結論|あなたの債権、弁護士に依頼して回収しましょう!

口約束だからといって、未払いの代金を諦める必要は一切ありません。
現代のビジネスでは、この記事で解説したように、契約書がなくとも法的に有効となり得る様々な「証拠」が存在します。
しかし、ご自身で証拠の収集や交渉、そして複雑な法的手続きを進めることには、多大な時間と精神的なご負担が伴います。

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①売掛保証・債権保証とは?
売掛保証とは、企業が商品やサービスを販売した際に発生する売掛金(未回収の代金)が、取引先の倒産や支払い遅延などで回収できなくなった場合に、保証会社や保険会社がその損失を補償してくれるサービスです。
これは、債権保証とも呼ばれ、企業の資金繰り安定や貸倒れリスクの軽減を目的としています。売掛保証を導入すれば、安心して新規取引や大口契約に挑戦でき、事業拡大を後押しする効果が期待できます。いわば、会社の売上を守る「安心の保険」のようなものです。
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②債権回収・未払い回収とは?
債権回収とは、企業や個人が、商品やサービスの提供、または貸付などによって発生した「債権」(お金を受け取る権利)について、約束の期日になっても相手方(債務者)から支払いがない場合に、そのお金を取り戻すための一連の活動を指します。
具体的には、支払いの催促(督促)、交渉、そして最終的には法的手段(内容証明郵便の送付、少額訴訟、通常訴訟、強制執行など)を通じて、未回収の資金を回収するプロセスです。会社の資金繰りを健全に保つ上で非常に重要な業務です。
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