01請求書カード払いとは
請求書カード払いって借金なんですか?
借入ではなく、カードによる支払いです。サービス会社が取引先に振り込み、自社はカードで払うので、現金が出る日を引落日まで後ろにずらせます。
請求書カード払いは、取引先から届いた請求書の支払いを、クレジットカードで行えるようにするサービスです。取引先の多くは、カードでの支払いを受け付けていません。そこで、サービス会社があいだに入ります。
自社はサービス会社にカードで支払います。サービス会社は、自社に代わって取引先の口座へ振り込みます。自社の口座からお金が出ていくのは、後日のカードの引落日です。その分だけ、現金が出ていく日を後ろにずらせます。
借入ではないが、支払いが消えるわけではない
この仕組みは、お金を借りるものではありません。あくまでカードによる支払いです。そのため、融資のような決算書の提出は、一般に求められないことが多いです。ただし、カードの引落日には、請求額と手数料を払う必要があります。支払いを先に延ばしているだけ、と考えてください。
資金繰りの手段は大きく、出ていくお金を遅らせる方法と、入ってくるお金を早める方法に分かれます。請求書カード払いは前者です。支払サイトを、取引先と交渉せずに実質的に延ばす方法ともいえます。手段全体の位置づけは請求書カード払いのまとめで整理しています。
02お金の流れを4ステップで確認
お金はどう流れるんですか?
会員登録、請求書の登録とカード決済、サービス会社から取引先への振込、カードの引落の4ステップです。引落は請求額と手数料の合計です。
登場するのは、自社(支払う側)、サービス会社、取引先(受け取る側)、カード会社の4者です。一般的な流れは次のとおりです。細かな手順はサービスによって違います。
- 会員登録:Webでサービスに登録します。サービスによっては、インボイスの登録番号が必要です。
- 請求書の登録とカード決済:取引先から受け取った請求書をアップロードし、振込先と金額を入力して、カードで決済します。
- 取引先への振込:サービス会社が確認したうえで、取引先の口座へ振り込みます。
- カードの引落日:請求額と手数料の合計が、カードの引落日に自社の口座から引き落とされます。
| タイミング | 自社の口座 | 取引先の口座 |
|---|---|---|
| カード決済の日 | まだ減らない | まだ増えない |
| サービス会社の振込日 | まだ減らない | 代金が入る |
| カードの引落日 | 請求額+手数料が減る | 変化なし |
ポイントは、取引先には期日までに代金が届き、自社の現金はカードの引落日まで残ることです。この間の差が、資金繰りの余裕になります。
カード決済のタイミングに注意
カードで決済した日が、カードの締め日のどちら側に入るかで、引落日が変わります。たとえば弥生の公式FAQでは、支払予約が完了した時点でカード決済が行われると案内しています。1月20日に1月31日払いの振込を予約すると、1月20日にカード決済が発生する例です。振込日ではなく、決済した日が基準になる点を覚えておきましょう。
034者の役割と、カード非対応の取引先にも使える理由
取引先がカード非対応でも使えますか?
使えます。自社から取引先への支払いが、カード払いと振込の2本に分かれるからです。取引先は通常どおり振込で受け取ります。
仕組みを正しく理解するには、誰が誰にお金を払う関係なのかを押さえることが大切です。請求書カード払いでは、もともとの「自社→取引先」という1本の支払いが、2本に分かれます。
| 登場人物 | 役割 | お金の動き |
|---|---|---|
| 自社(支払う側) | 請求書を登録し、カードで決済する | カード会社に、請求額+手数料を引落日に払う |
| サービス会社 | 自社に代わって取引先へ振り込む | 取引先に代金を振り込み、カード決済で代金と手数料を受け取る |
| カード会社 | カード決済を処理する | サービス会社に代金を払い、自社から引落日に回収する |
| 取引先(受け取る側) | 通常どおり代金を受け取る | 振込で代金を受け取る。カード対応は不要 |
つまり、取引先に対する支払い義務は、サービス会社の振込で果たされます。その代わりに、自社にはカード会社への支払い義務が新しく生まれます。支払う相手と日付が変わるだけで、払う総額は手数料の分だけ増える、という関係です。
この構造から、二つのことが分かります。一つ目は、取引先との契約や支払条件はそのままだということです。取引先と交渉する必要がない反面、取引先との支払条件そのものは良くなりません。二つ目は、カード会社への支払いが遅れると、取引先ではなくカード会社との問題になることです。引落日の資金を確保することが、この仕組みを使う前提になります。
なお、freee請求書カード払いはGMOペイメントゲートウェイが提供するサービスを基盤としており、利用にはfreeeとは別のアカウント作成が必要だと公式サイトに記載されています。会計ソフトの名前がついたサービスでも、実際の運営会社や規約が別のことがあります。申込前に、規約の当事者を確認しておきましょう。
取引先がカードに対応していなくても使える理由
取引先から見ると、届くのは通常の銀行振込です。カードの加盟店になる必要はありません。カード決済の手数料を取引先が負担することもありません。これが、カード払いを受け付けていない相手にも使える理由です。
振込名義や通知の扱いは、サービスごとに違います。公式サイトで確認できた範囲では、次のとおりです。
| サービス | 振込名義・通知について公式に記載がある内容 |
|---|---|
| freee請求書カード払い | 支払い情報の登録時に申請した名義で振り込む。利用は取引先に通知しない |
| マネーフォワード 請求書カード払い | 支払先への通知なし |
※2026年10月に各社公式サイトで確認。仕様は変わることがあります。
ただし、振込日がいつもと違う、振込名義の表示が違うといった点から、取引先が気づく可能性はゼロではありません。気になる場合は、申込前に名義と振込日の扱いを確かめてください。詳しくは取引先に知られる?枠・上限・対象外の注意で整理しています。
04何日延びる?日数の数え方
何日くらい支払いを延ばせますか?
「最大60日」と書かれることが多いですが、実際は締め日・引落日・決済日で決まります。数えるのは本来の支払期日から引落日までです。
各社の公式サイトでは「最大60日」と表記されることが多いです。ただし、実際に延びる日数は、カードの締め日と引落日、そして決済した日で決まります。
起点は「本来の支払期日」
資金繰りで大事なのは、本来の支払期日から、カードの引落日まで何日あるかです。カード決済の日から数えると、実際より長く見えてしまいます。
例として、10月31日が支払期日の請求書を、10月20日にカード決済した場合を考えます。
| カードの条件 | 決済日 | 引落日 | 本来の期日から延びる日数 |
|---|---|---|---|
| 15日締め・翌月10日払い | 10月20日 | 12月10日 | 40日 |
| 末日締め・翌月27日払い | 10月20日 | 11月27日 | 27日 |
計算の内訳です。15日締めの場合、10月20日の決済は11月15日締めに入り、12月10日に引き落とされます。10月31日から12月10日までは、11月の30日と12月の10日で40日です。末日締めの場合は10月31日締めに入り、11月27日引落なので27日です。
同じ請求書でも、カードによって延びる日数は大きく変わります。締め日の直後に決済できると長く延び、締め日の直前だと短くなります。ただし、取引先への振込が期日に間に合うことが前提です。振込までの日数も、あわせて確認してください。
05取引先への振込はいつ届くか
取引先への振込はいつ届きますか?
サービスによって違います。最短で当日のところ、決済から最短即日〜3営業日以内のところ、決まった日に振り込むところがあります。
延びる日数と同じくらい大事なのが、取引先への振込がいつ届くかです。振込が支払期日に間に合わなければ、取引先にとっては支払いの遅れになります。公式サイトで確認できた振込のタイミングは、次のとおりです。
| サービス | 振込のタイミング(公式の記載) |
|---|---|
| freee請求書カード払い | 最短で登録した当日。審査の状況によって翌営業日以降となる場合がある |
| 請求書カード払い by 弥生 | カード決済から最短即日〜3営業日以内 |
| マネーフォワード 請求書カード払い | 5日・10日・15日・20日・25日・末日に振込。申込期限は振込日の3営業日前 |
※2026年10月に各社公式サイトで確認。
たとえば、振込日が決まっているサービスでは、支払期日に近い振込日を選ぶ形になります。期日の直前に申し込むと、間に合わないことがあります。初めて使うときは審査や確認に時間がかかることもあるため、期日まで余裕を持って申し込みましょう。
「延ばしたい」と「間に合わせたい」のバランス
延びる日数を長くしたいなら、カードの締め日の直後に決済したくなります。一方で、取引先への振込は期日までに届かなければいけません。この二つは、ときどきぶつかります。締め日と支払期日の関係によっては、延ばせる日数が短くなることもあります。手持ちのカードの締め日と、よく使う支払期日を並べて、どのタイミングで決済するのがよいかを一度整理しておくと、毎回迷わずに済みます。
06手数料の仕組みと計算例
手数料はどうやって払うんですか?
支払う金額に対して1回ごとにかかり、請求額と手数料を合わせた金額をカードで決済するのが一般的です。
手数料は、支払う金額に対して1回ごとにかかるのが一般的です。請求額と手数料を合わせた金額を、カードで決済します。公式サイトで確認できた通常の手数料は次のとおりです。
| サービス | 手数料(通常時) | 最低手数料など |
|---|---|---|
| freee請求書カード払い | 3.0%(非課税) | 取引あたり最低1,500円 |
| 請求書カード払い by 弥生 | 利用開始時3.5%(利用金額に応じて変動) | 請求あたり最低390円。登録特典で初月と翌月は1.5% |
| マネーフォワード 請求書カード払い | 2.7%(税別) | 10万円以下は一律3,000円(税別) |
※2026年10月に各社公式サイトで確認。条件は変わることがあるため、申込前に必ず公式サイトで確認してください。
100万円を支払う場合
- freee:100万円×3.0%=30,000円。非課税なので、カード決済額は103万円です。
- 弥生(3.5%):100万円×3.5%=35,000円。カード決済額は103.5万円です。
- マネーフォワード:100万円×2.7%=27,000円に、消費税2,700円を加えて29,700円。公式FAQでも、決済額は102.97万円と例示されています。
消費税の扱いは、サービスによって非課税と税別に分かれます。%の数字だけで比べず、税込の金額で比べましょう。くわしくは手数料の目安と実質コストの考え方をご覧ください。
カードのポイントはどう考えるか
freeeやマネーフォワードの公式サイトでは、請求書の支払いでカードのポイントが貯まると案内しています。ポイントの還元率はカードによって違い、還元の対象外となる支払いを定めているカードもあります。一般に、手数料のほうがポイントより大きくなることが多いため、ポイント目当てで使うと損になりやすいです。ポイントは、手数料の一部が戻ればよい、という程度に考えておきましょう。
07年率に直すと何%か
融資の金利と比べるにはどうする?
手数料率÷延びる日数×365で年率に直します。3.0%で40日なら約27.4%です。延びる日数が短いほど年率は高くなります。
手数料は1回あたりの%で表示されます。一方、融資の金利は年率です。比べるには、年率に直すと分かりやすくなります。
考え方の式:年率の目安=手数料率÷延びる日数×365
| 手数料率 | 延びる日数 | 年率の目安 |
|---|---|---|
| 3.0% | 27日 | 約40.6% |
| 3.0% | 40日 | 約27.4% |
| 3.0% | 60日 | 約18.3% |
| 2.97%(2.7%+税) | 40日 | 約27.1% |
計算例:3.0%÷40日×365=27.375%で、約27.4%です。この計算は単純化した目安で、複利などは考えていません。
延びる日数が短いほど、年率は高くなります。1回だけの一時的な利用なら、手数料の額が許容できるかで判断してもよいでしょう。毎月のように使うなら、年率で他の方法と比べることが大切です。年率の計算は実質年率の計算ツールでも試せます。用語は実質年率で解説しています。
08具体例:月末の外注費を払うケース
実際の例で効果を教えてください。
例では、10月末に外注費100万円をそのまま払うと残高がマイナス70万円ですが、カード払いにすれば30万円が残ります。
ここまでの内容を、仮の例で通して確認します。数字はすべて説明のための例です。
ある会社は、10月31日に外注費100万円の支払いがあります。一方、売上の入金は11月30日に120万円の予定です。10月末時点の手元資金は80万円で、ほかに10月末の固定費が50万円あります。
| 項目 | そのまま振込 | 請求書カード払いを使う |
|---|---|---|
| 10月末の支払い | 外注費100万円+固定費50万円=150万円 | 固定費50万円のみ |
| 10月末の残高 | 80万円−150万円=マイナス70万円 | 80万円−50万円=30万円 |
| 11月30日の入金 | 120万円 | 120万円 |
| 12月10日の引落(15日締め・翌月10日払いのカード、手数料3.0%の例) | なし | 103万円 |
そのまま振り込むと、10月末に70万円足りません。カード払いを使うと、10月末は30万円残り、11月30日の入金後に150万円となります。12月10日に103万円を払うと、残りは47万円です(ほかの入出金がない場合)。
この例では、手数料3万円で10月末の資金ショートを避けられます。ただし、12月10日の103万円を払えるのは、11月30日の入金が予定どおりあるからです。入金が遅れると、今度はカードの引落日に困ることになります。使う前に、引落日までの入金の確度を必ず確認しましょう。
09使うための条件
使える人や支払いの条件は、サービスごとに決められています。公式サイトで確認できた主な条件を整理します。
- カードの利用可能枠:freeeと弥生は、カードの利用可能枠の範囲内なら1回の上限はないと案内しています。枠を超える支払いはできません。
- 使えるカード:3社ともVisa・Mastercard・JCBブランドに対応すると記載しています。弥生は個人のカードも使えるとしています。マネーフォワードは国内発行のカードで、3Dセキュア2.0に対応していることが条件です。
- 事業者の条件:freeeは、インボイスの登録番号があれば法人・個人事業主を問わず使えるとしています。弥生は個人事業主・法人を問わず使えるとしています。
- 対象の請求書:freeeは日本国内の取引に基づく請求書のみ、弥生は海外口座への振込や海外企業との取引に未対応、マネーフォワードは海外企業が発行した請求書を対象外としています。
- 支払い方法:弥生は1回払いのみとしています(カード会社によっては後から分割払いなどに変更できる場合がある、としています)。
架空の請求書や、実態のない取引で使うことはできません。実際の取引の請求書があることが前提です。
10向いていない人と注意点
仕組みが分かると、向き不向きも見えてきます。次のような場合は、別の方法を先に考えましょう。
- 引落日に払える見込みがない:カードの支払いが遅れると、カード会社の規約により利用が止まることなどがあります。入金の見込みを先に確かめてください。
- 毎月ずっと必要:年率に直すと20〜40%程度になることもあり、常用すると利益を圧迫します。毎月必要なら、融資や支払条件の見直しを検討しましょう。
- 入金待ちの売掛金を早く現金にしたい:目的が逆です。ファクタリングなど入金を早める方法が近いです。違いはBNPL・ファクタリングとの違いで整理しています。
- カードの枠が足りない:枠を使うと、ほかのカード払いに使える分も減ります。
もう一つの注意点は、引落日に支払いが集中することです。複数の請求書をカードに寄せると、ある月の引落額が大きくなります。資金繰り表に引落日と金額を書き込み、その月の入金で払えるかを確認しておきましょう。資金繰り表の書式はテンプレートにあります。
「とりあえず使う」の前に
請求書カード払いは手続きが簡単なため、資金が足りないと感じたときに、すぐ使いたくなります。しかし、なぜ足りないのかを確認しないまま使うと、翌月も同じことが起きやすくなります。一時的なズレなのか、毎月の構造的な不足なのかを分けて考えましょう。一時的なズレなら、カード払いは手軽なつなぎになります。構造的な不足なら、運転資金そのものを手当てする方法が先です。必要な運転資金の目安は必要運転資金の計算ツールで確認できます。
11よくある質問
請求書カード払いは借金になりますか?
取引先に何か手続きをしてもらう必要はありますか?
最大60日と書かれていますが、必ず60日延びますか?
手数料はいつ払いますか?
個人事業主でも使えますか?
海外の取引先への支払いに使えますか?
手数料は経費になりますか?
出典・参考(3件)
- freee請求書カード払い(freee株式会社・公式) https://www.freee.co.jp/card/invoice-payment/(2026年10月確認)
- 請求書カード払い by 弥生(弥生株式会社・公式) https://www.yayoi-kk.co.jp/lp/invoicecard/(2026年10月確認)
- マネーフォワード 請求書カード払い(マネーフォワードケッサイ株式会社・公式) https://mfkessai.co.jp/invoice-card-pay/top(2026年10月確認)
本記事は一般的な情報提供で、特定の金融商品の勧誘を目的とするものではありません。条件は事業者や状況により異なります。契約の内容は、専門家にご確認ください。
