売掛保証の申込から保証開始までのステップ・必要書類・期間の目安を、個別/包括/オンライン型のタイプ別の違いまで含めて解説します。
売掛保証(売掛債権の保証サービス)は、取引先の倒産や支払い遅延によって売掛金が回収できなくなったときに、あらかじめ設定した保証限度額の範囲で保証会社が一定割合を支払う仕組みです。サービスの基本的な考え方は売掛保証とはのページで詳しく整理していますが、本記事では「実際に申し込んでから保証が始まるまで、どんな順番で何をするのか」「どんな書類が必要になるのか」という実務の流れに絞って解説します。
まず全体像をつかみましょう。多くのサービスでは、申込から保証開始までは次のようなステップで進みます。これはあくまで一般的なモデルケースであり、サービスのタイプ(オンライン型・個別保証・包括保証・取引信用保険など)や会社の運用によって、順番や呼び方、所要期間は変わります。
この記事では、各ステップで「何を準備し、何を確認すればよいか」を順番に掘り下げます。あわせて、タイプ別の流れの違い、必要書類のチェックリスト、申込前の準備、よくあるつまずきと回避策まで整理しますので、自社が利用を検討しているサービスに当てはめながら読み進めてください。
最初のステップは、保証会社への問い合わせ・申込です。オンライン型サービスではWebの申込フォーム、個別・包括型や保険型では電話・メール・営業担当を通じた相談からスタートすることが多くなります。たとえば中小企業向けのオンライン型ではURIHOやアラームボックスのようにWebで完結しやすいサービスがある一方、保証額が大きい包括契約や取引信用保険では、ヒアリングを重ねてから見積もりに進む形が一般的です。
この段階で保証会社に伝えると話が早いのは、次のような情報です。すべてを完璧に揃える必要はありませんが、概要を整理しておくと初回の相談がスムーズになります。
問い合わせの段階で、サービス側の担当者から「どのような課題を解決したいのか」を尋ねられることがよくあります。ここで自社の課題を具体的に言語化できていると、提案の方向性がぶれずに進みます。たとえば「特定の1社に売上が偏っており、その1社が倒れると資金繰りが一気に苦しくなる」という課題であれば個別保証が、「新規開拓を増やしたいが与信判断のノウハウがなく、貸し倒れが怖くて踏み込めない」という課題であれば包括保証+与信管理機能が、それぞれ向いていると整理できます。課題の輪郭が見えるほど、無駄なやり取りを減らせます。
問い合わせの入口は大きく「Webフォーム」「電話」「営業担当・代理店経由」に分かれます。Webフォームはスピードが速く、自分のペースで進められる反面、細かな相談がしづらい面があります。電話・担当者経由は、自社の状況に応じた提案を受けやすい反面、初回ヒアリングに時間がかかります。取引信用保険のように保険商品としての設計が絡むものは、代理店を通じた相談が中心となり、保険の引受条件まで踏み込んで設計していくため、最初から数週間単位のスケジュール感を見込んでおくと良いでしょう。どの入口でも、最初のやり取りの段階で「概算の料金感」「必要書類の範囲」「保証開始までの目安期間」の3点を確認しておくと、その後の比較検討がしやすくなります。
なお、どのサービスが自社に合うか迷う段階であれば、申込前に売掛保証の診断ツールで大まかな方向性を確認したり、提供会社一覧で各社の特徴を見比べたりするのも有効です。料金感をつかむには、たとえば月額制のURIHO(月額9,800円〜・初月無料)のような明朗料金型と、取引額に応じた料率型のサービスを並べて比較するとイメージしやすくなります。
申込・相談の次は、審査に必要な書類や情報の提出です。ここで提出する内容は「自社に関するもの」と「保証対象としたい取引先に関するもの」に大きく分かれます。必要書類は会社・サービスによって大きく異なり、ここに挙げるのはあくまで一般的に求められやすい項目の目安です。実際にはオンライン型では入力フォームへの記入だけで済むケースもあれば、包括契約や保険型では決算書一式の提出を求められるケースもあります。申込先から案内された指示に従ってください。
| 区分 | 書類・情報の例(一般的な目安) | 補足 |
|---|---|---|
| 自社に関するもの | 会社概要、登記情報、決算書(直近期)など | オンライン型では省略・簡素化されることも。包括/保険型では決算書を求められやすい。 |
| 取引先に関するもの | 取引先の商号・所在地・代表者名などの基本情報 | 保証会社が与信審査をするための最重要情報。正確さが重要。 |
| 取引実態を示すもの | 取引先ごとの取引金額、支払いサイト、取引開始時期 | 限度額の妥当性判断に使われる。実績がわかると審査が進みやすい。 |
| 契約・請求関連 | 基本取引契約書、注文書・請求書の控えなど | 取引の継続性・規模を裏付ける資料。求められない場合もある。 |
| 本人確認・与信関連 | 申込者の本人確認、反社チェック関連の同意 など | サービスにより手続き方法が異なる。 |
提出方法も、Webアップロード、メール、専用ポータルへの入力など、サービスにより異なります。オンライン型では取引先の商号や所在地を入力するだけで自動的に与信判定が走る設計のものもあり、書類提出の負担が軽い傾向があります。一方、保証額が大きい契約では、提出資料が多くなりやすく、内容確認のやり取りも増えます。
自社に関する書類を求められる場合、もっとも代表的なのが決算書です。これは主に包括保証型や取引信用保険型で求められやすく、自社の事業の安定性や、保証会社が継続的に取引できる相手かどうかを確認する目的があります。オンライン型の多くは自社の決算書提出を必須とせず、商号・所在地などの基本情報の入力で済むことが多いですが、これもサービスにより異なります。決算書を提出する場合は、税務署の受付印や電子申告の受信通知が確認できる状態の直近期のものを準備しておくと、確認のやり取りが減ります。
取引先に関する情報は、売掛保証の審査の中心になります。最低限求められるのは「正式商号」「所在地」「代表者名」といった基本情報で、これに加えて「取引金額」「支払いサイト」「取引開始時期」などの取引実態の情報を求められることが一般的です。複数の取引先をまとめて申し込む場合は、一覧表(CSVやExcel)での提出を受け付けるサービスもあります。手作業で転記すると誤りが入りやすいため、自社の販売管理システムや会計ソフトから出力したデータを基に作成すると、正確かつ短時間で揃えられます。
提出書類でつまずきやすいのが、情報の「鮮度」と「整合性」です。たとえば取引先が本店を移転していたり、商号変更をしていたりすると、古い情報のままでは別法人と判定され審査が滞ることがあります。また、申込書に書いた取引金額と、提出した請求書の金額が大きく食い違っていると、確認のための追加質問が発生します。提出前に「申込内容」と「裏付け資料」が一致しているかを一度突き合わせておくと、差し戻しを大きく減らせます。
必要情報が揃うと、保証会社による与信審査が行われます。繰り返しになりますが、ここで審査されるのは申込企業(自社)ではなく、保証対象とする取引先(販売先)です。保証会社は独自の信用情報や調査データ、決算情報、過去の支払い履歴などをもとに、その取引先がどの程度の信用力を持つかを評価し、保証できる金額(保証限度額)と条件を判断します。
審査の観点や流れは会社ごとに違い、外部からはブラックボックスに見えがちですが、一般的には次のような点が見られると考えられます。詳しい考え方や、審査に通りにくいケース、限度額の決まり方については売掛保証の審査のページで詳しく解説しています。
審査の結果、希望どおりの限度額が付くこともあれば、限度額が抑えられたり、特定の取引先が保証対象外と判断されたりすることもあります。これは取引先の信用力に基づく判断であり、自社の問題とは限りません。対象外となった取引先については、別の与信管理手段(前金・短いサイト・債権の分散など)を併用することも検討に値します。
与信審査の途中で、保証会社から追加の質問や資料提出を求められることがあります。よくあるのは「その取引先との取引が継続的なものか、スポットの一時取引か」「過去に支払い遅延やトラブルがなかったか」「同じ取引先に対して、申込企業が想定している取引額が急に増えていないか」といった点です。これらは限度額の妥当性や、不自然な信用集中がないかを見るための確認です。追加質問にスムーズに答えられるよう、取引履歴の概要を手元に整理しておくと、審査の停滞を防げます。
もし審査結果が想定と大きく違った場合(限度額が想定より低い、対象外になったなど)、まずはその理由の範囲で説明を受けられないか確認してみましょう。保証会社は審査の詳細なロジックを開示しないのが通常ですが、「現時点では限度額を抑えている」といった大枠の方針は共有してもらえることがあります。そのうえで、他社にも申し込んで結果を比較するか、限度額が出る範囲で部分的に保証を活用し、残りは自社の与信管理で補うかを検討します。1社の結果だけで判断せず、複数の選択肢を持っておくことが大切です。
与信審査が終わると、保証会社から具体的な保証条件が提示されます。ここで提示される主な項目は、保証限度額・保証料率・免責(保証されない範囲や控除)・保証期間などです。契約前のこの段階で、自社の取引実態と条件が見合っているかをしっかり確認しましょう。
料金体系はサービスによって大きく異なります。公開されている料金の一例を挙げると、以下のとおりです(最新の料金・適用条件は各社の公式案内および見積もりで必ず確認してください。料率や条件は変更される可能性があります)。
| サービス | 公開されている料金の例 | タイプ |
|---|---|---|
| URIHO | 月額9,800円〜(初月無料) | 月額定額型 |
| アラームボックス | 0.1%〜+月10,000円(税抜) | 与信管理+保証型 |
| JFS | 単発1.5%・継続0.55% | 料率型 |
| GMO掛け払い | 0.5〜3.4% | 掛け払い(請求代行)型 |
| Paid | 0.5〜3.5%+125円/件 | 掛け払い(請求代行)型 |
| 請求まるなげロボ | 1.0%〜 | 請求代行+保証型 |
上記以外の多くのサービス、たとえばSMFL、eGuarantee、マネーフォワード ケッサイ(掛け払い)、NP掛け払い、オリコなどは、取引内容に応じて個別に見積もりを取る形が中心です。料率は取引先の信用力・取引金額・保証額によって変動するため、複数社から見積もりを取って比較するのが実務的です。
条件提示を受け取ったら、まず「自社が想定する最大の売掛残高」と「提示された保証限度額」を突き合わせます。限度額が想定残高を下回っている場合、超過分は無保証になるため、限度額の引き上げを相談するか、その取引先との取引額をコントロールするかを判断します。次に、料率や月額費用が自社の利益率に対して許容できる水準かを確認します。売掛保証はコストですから、保証によって守られる金額と、支払う費用のバランスが取れているかを見ます。最後に免責の内容を確認し、「事故が起きたとき実際にいくら戻るのか」を具体的な数字で試算しておきます。
同じ取引先でも、保証会社によって保証できる限度額や料率の判断は異なります。これは各社が持つ信用情報や審査基準、リスク許容度が違うためです。したがって、特に重要な取引先については複数社から条件提示を受け、限度額・料率・免責・運用のしやすさを横並びで比較するのが実務的です。どのサービスから当たればよいか迷う場合は、診断ツールで自社タイプの当たりをつけ、提供会社一覧から候補を選んで複数社に問い合わせるとよいでしょう。
提示された条件に合意できれば、契約締結に進みます。電子契約で完結するサービスもあれば、書面でのやり取りを行うサービスもあります。契約は保証の根拠になる重要な書類なので、署名・締結の前に内容を丁寧に確認しましょう。特に次の点はトラブル防止のため必ずチェックします。
契約の締結方法は、電子契約サービスを使ってオンラインで完結するものと、書面を取り交わすものに分かれます。オンライン型のサービスでは電子契約が主流で、申込から契約までを短時間で進められます。書面契約の場合は郵送のやり取りが入るため、その分の日数を見込んでおく必要があります。いずれの場合も、契約内容そのものは同じく重要です。締結方法のスピードだけで判断せず、契約書(または利用規約・約款)に記載された保証範囲・免責・請求手続きを、署名・同意の前に必ず読み込みましょう。
オンライン型サービスでは、個別の契約書ではなく利用規約や約款に保証の詳細条件が書かれていることがあります。この場合、規約・約款も契約の一部として効力を持つため、本文の条件提示だけでなく、規約に記載された免責事由・請求期限・対象外取引の定義まで目を通しておくことが大切です。特に「どんな取引が保証の対象外になるか」「何日の遅延で保証請求できるようになるか」は、後の運用に直結する重要事項です。不明点は契約前に質問し、認識を合わせておきましょう。
契約が発効すると、いよいよ保証開始です。ただし「契約して終わり」ではなく、保証を有効に活用するには運用が欠かせません。運用フェーズで発生しやすい手続きを整理します。
取引先が増えたり、既存取引先との取引額が増えたりした場合は、保証対象の追加や限度額の増額を申請します。新たな取引先を追加する際は、その取引先について改めて与信審査が行われるのが一般的です。包括型のサービスでは、専用ポータルから随時申請できる設計のものもあります。
サービスによっては、取引先の信用状況を継続的にモニタリングし、信用悪化の兆候があればアラートを出したり、限度額を見直したりするものがあります。アラームボックスのように与信管理機能を重視したサービスでは、この継続モニタリングが特徴になっています。限度額が引き下げられた場合、その時点以降に発生する取引の保証範囲が変わるため、通知には注意を払いましょう。
多くのサービスには契約期間があり、期間満了時に更新の手続きが発生します。自動更新型もあれば、都度見直し型もあります。更新の際に料率や限度額が改定されることもあるため、更新時には条件を再確認します。
取引先の倒産や支払い遅延(事故)が発生したときは、契約に定められた手順・期限に従って保証会社に保証履行(保証金の支払い)を請求します。一般的には、未回収の事実を示す資料(請求書、取引契約、入金がないことの証憑、督促の記録など)を提出し、保証会社の確認を経て保証金が支払われます。請求には期限が設けられていることが多いため、事故に気づいたら速やかに保証会社へ連絡することが重要です。
保証が始まったら、社内でも「保証対象の取引先」「取引先ごとの限度額」「支払期日」を一元管理する仕組みを整えておくと安心です。営業担当が新規取引を始める際に、その取引先が保証対象かどうか、限度額に余裕があるかを確認できる状態にしておくと、無保証のまま大口取引を進めてしまう事故を防げます。限度額に近づいている取引先があれば、早めに増額を申請するか、取引額を調整します。保証は「契約しておけば自動的に守られる」ものではなく、限度額の範囲内で正しく運用してはじめて効果を発揮する点を、社内で共有しておきましょう。
万一の事故(倒産・支払い不能・長期延滞)は、いつ起きるか予測できません。だからこそ、平時のうちに「事故が起きたら、誰が、どの書類を、いつまでに保証会社へ提出するか」を決めておくことが重要です。請求に必要となりやすい書類(請求書控え、取引契約、入金記録、督促の記録など)を取引先ごとに整理し、すぐ取り出せる状態にしておきましょう。請求期限を過ぎると保証が受けられなくなることがあるため、事故の兆候を察知したら、まず保証会社に連絡して請求手続きの段取りを確認するのが鉄則です。
ここまで一般的な6ステップを説明しましたが、実際の所要期間や手続きの重さは、サービスのタイプによって大きく異なります。代表的な3タイプの違いを比較表で整理します(期間はいずれも一般的な目安で、取引先の数・審査状況・提出資料の量によって前後します。確定的な日数ではありません)。
| タイプ | 申込〜保証開始の流れ | 所要期間の目安 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| オンライン型(Web完結) | Webフォームで申込→取引先情報を入力→自動・短時間で与信判定→Web上で契約→保証開始 | 最短即日〜数日程度(目安) | 少額〜中規模の取引、スピード重視、与信管理の手間を減らしたい中小企業 |
| 個別・包括保証型 | 相談・ヒアリング→書類提出→与信審査→条件提示・見積もり→契約→保証開始 | 数日〜(目安。対象社数が多いほど長くなる傾向) | 特定の大口取引先を保証したい、または取引先全体を包括的にカバーしたい企業 |
| 取引信用保険(保険型) | 代理店・保険会社に相談→詳細ヒアリング→決算書等を含む資料提出→引受審査→条件提示→契約→保証(補償)開始 | 数週間〜(目安。引受審査に時間を要しやすい) | 取引規模が大きい、海外取引を含む、保険商品としての設計を求める企業 |
3タイプは、申込から保証開始までのスピードだけでなく、運用のしやすさやカバーできる取引規模も異なります。オンライン型は手軽でスピーディーな反面、1社あたりの限度額や対応できる取引規模に上限があることがあります。包括保証型は取引先全体をまとめて管理でき、与信管理の手間を大きく減らせますが、導入には相応の準備と時間が必要です。取引信用保険型は大きな取引規模や海外取引にも対応しやすい一方、引受審査が重く、契約までの期間も長くなりがちです。自社の取引が「少額・多数」なのか「大口・少数」なのかによって、適したタイプは変わってきます。
オンライン型はURIHOやアラームボックスのように申込から判定までWebで完結しやすく、スピード感があります。掛け払い型(請求代行と保証が一体になったサービス)のGMO掛け払い、マネーフォワード ケッサイ、NP掛け払いなども、導入後はオンラインで運用しやすい設計です。一方、保証額が大きい個別・包括の契約や、eGuarantee・SMFL・オリコなどが扱う規模の大きいスキーム、保険型は、相応の準備期間を見込んでおくと安心です。自社の取引規模とスピード要件に合わせてタイプを選びましょう。
申込をスムーズに進めるため、よく求められる書類・情報をチェックリストとしてまとめます。すべてが必須というわけではなく、サービスにより必要な範囲は異なります。オンライン型では入力フォームへの記入だけで足りることもあれば、保証額の大きい契約では資料一式が必要になることもあります。申込先の案内に従って、必要なものから揃えてください。
申込をしてから慌てて資料を集めると、提出のやり取りで時間がかかります。申込前に次のことを準備・整理しておくと、STEP1からSTEP4までが格段にスムーズになります。
上記の準備は、すべてを一度に完璧に揃える必要はありません。まずは「保証したい取引先の一覧」と「各社の希望限度額」を作るところから始めると、サービス側との初回の相談がぐっと具体的になります。決算書や契約書の控えは、包括型・保険型を本格検討する段階で揃えれば十分なことが多いです。オンライン型を試したい場合は、取引先情報さえあればその場で与信判定まで進めるサービスもあるため、まず小さく試して使用感を確かめてから本格導入を判断する、という進め方も現実的です。準備の負担とスピードのバランスを見ながら、自社に合うペースで進めましょう。
売掛保証はコストが発生する仕組みのため、導入には経理・営業・経営層の合意が必要になることが多いものです。申込前に「なぜ保証を導入するのか(どの取引先のどんなリスクに備えるのか)」「年間でどれくらいの費用がかかり、どれだけのリスクをカバーできるのか」を社内で共有しておくと、契約の決裁がスムーズに進みます。特に営業部門には、保証対象の取引先や限度額を共有し、運用フェーズで現場が正しく活用できる体制を、導入と同時に整えておくことをおすすめします。
申込から保証開始までの過程で、よくあるつまずきポイントと、その回避策をまとめます。多くは事前準備と正確な情報提供で防げます。
取引先の社名表記が請求書と申込内容で食い違っていたり、必要書類が揃っていなかったりすると、審査が止まったり差し戻されたりします。回避策:提出前に、取引先の正式商号・所在地・法人格を原本(請求書・契約書)と突き合わせて確認する。申込先から指定された書類リストにチェックを入れながら漏れなく揃える。
すでに支払いが遅れている債権や、倒産の噂が出ている取引先を後から保証対象にしようとしても、与信審査で対象外と判断されるのが一般的です。回避策:取引が健全なうちに保証契約を結んでおく。新規取引先は取引開始の早い段階で保証対象に組み込む。詳しい審査の考え方は売掛保証の審査を参照。
取引先の与信に追加情報が必要なのに、取引先が決算情報などの提供に応じてくれないケースがあります。回避策:多くの売掛保証は、保証会社が独自の信用情報で審査するため、取引先に保証加入を知らせず・協力を求めずに利用できる設計です(取引先に通知不要なサービスを選ぶ)。取引関係に配慮したい場合は、申込前に「取引先への通知の有無」を確認しておく。
取引先の信用力により、希望した限度額が満額付かないことがあります。回避策:限度額が足りない分は、前金・支払いサイトの短縮・取引額の段階的拡大など、他の与信管理策と併用する。複数の保証会社を比較し、より大きな限度額を提示する社を探す。
料率の低さだけで契約すると、事故時に免責(控除)で受取額が想定より少なくなることがあります。回避策:契約前に免責の条件と料率の相場を必ず確認し、「限度額×料率×免責」を一体で比較する。
事故発生から保証請求までの期限を過ぎると、保証が受けられないことがあります。回避策:契約書で請求期限と必要書類を確認し、支払い遅延を早期に検知できる売掛金管理体制を整える。遅延に気づいたら速やかに保証会社へ連絡する。
保証限度額があるにもかかわらず、現場の営業がそれを把握せず、限度額を超える大口取引を進めてしまうケースがあります。超過分は保証対象外のため、その部分で貸し倒れが起きると守られません。回避策:取引先ごとの限度額を社内で共有し、限度額に近づいたら増額申請や取引額の調整を行う。受注の前段階で保証残枠を確認する運用にする。
ここまで、売掛保証の申込から保証開始までの流れを6ステップに沿って解説してきました。最後に、全体を通じて押さえておきたい考え方を整理します。第一に、売掛保証で審査されるのは自社ではなく取引先であり、保証が付くかどうかは取引先の信用力に左右されます。第二に、保証されるのは原則として契約後に発生した健全な債権であり、すでに遅延している債権や契約前の既存債権は対象外になりやすいため、取引が順調なうちに準備・契約しておくことが肝心です。第三に、サービスのタイプ(オンライン型・包括型・保険型)によって申込から保証開始までの期間や手続きの重さが大きく異なるため、自社の取引規模とスピード要件に合ったタイプを選ぶことが重要です。
そして、契約前には「保証限度額・料率・免責」を必ずセットで確認し、実際に事故が起きたときに手元にいくら戻るのかをシミュレーションしておくこと。契約後は、限度額の範囲内で正しく運用し、事故時の請求手続き・期限を社内で共有しておくこと。これらを徹底することで、売掛保証は資金繰りを守る実効性のある仕組みとして機能します。具体的なサービスの比較検討に進む際は、提供会社一覧や診断ツールを起点に、料率の相場や免責の考え方、審査の解説も参照しながら、自社に合った1社を見極めてください。売掛保証の基本的な仕組みからおさらいしたい場合は売掛保証とはもあわせてご覧ください。
サービスのタイプによって異なります。オンライン型は最短で即日〜数日、個別・包括保証型は数日〜、取引信用保険(保険型)は数週間程度かかることもあります。いずれも一般的な目安であり、保証対象の取引先数や審査状況、提出資料の量によって前後します。確定的な期間は申込先にご確認ください。
審査の主な対象は、保証してほしい「取引先(販売先)」です。自社の財務状況が万全でなくても、取引先の信用力が十分であれば保証が付くのが一般的です。詳しくは売掛保証の審査のページをご覧ください。
必要書類は会社・サービスによって大きく異なります。オンライン型では取引先情報の入力だけで済むこともあれば、包括型・保険型では決算書を含む資料一式を求められることもあります。一般的には、自社情報・取引先の基本情報・取引実態を示す資料が必要になりやすいですが、必ず申込先の案内に従ってください。
一般的に、すでに支払いが遅れている債権(遅延中債権)や、契約前に発生した既存債権は保証対象外となることが多いです。多くの売掛保証は「契約発効後に発生した取引」を対象とするため、取引が健全なうちに契約しておくことが大切です。
多くの売掛保証は、保証会社が独自の信用情報で審査するため、取引先への通知や協力を求めずに利用できる設計になっています。ただしサービスにより取り扱いが異なる場合があるため、取引関係に配慮したい場合は申込前に「取引先への通知の有無」を確認してください。
料金体系はサービスによって異なります。公開されている例では、月額定額型(例:月額9,800円〜)、料率型(取引額や保証額に対する一定割合)、掛け払い型(例:0.5〜3.4%)などがあります。多くのサービスは取引先の信用力や取引金額に応じた個別見積もりです。最新の料率・条件は各社の公式案内でご確認ください。料率の考え方は保証料率の相場で解説しています。
取引先の信用力により、希望どおりの限度額が付かないことがあります。不足分は、前金の受領、支払いサイトの短縮、取引額の段階的な拡大など、他の与信管理策と併用するのが実務的です。また、複数の保証会社を比較し、より大きな限度額を提示する社を探す方法もあります。
契約に定められた手順・期限に従い、未回収を示す資料(請求書、取引契約、入金がないことの証憑、督促記録など)を提出して保証会社へ保証履行を請求します。請求には期限が設けられていることが多いため、事故に気づいたら速やかに保証会社へ連絡してください。事前に契約書で請求手続き・期限・必要書類を確認しておくと安心です。
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