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債権回収・未払い金2026.06.09更新 2026.10.30

取引先が倒産したら売掛金はどうなる?回収順位と売掛保証での備え方【2026年】

8 分で読める資金繰り総研 編集部

SUMMARY

要点をまとめると

  1. 01取引先が法的に倒産すると、売掛金は配当順位の低い一般債権として扱われ、戻るのは数%からゼロのことが少なくありません。
  2. 02倒産後も相殺、動産売買の先取特権、所有権留保、保証・担保、債権届出で一部の回収を試みられます。
  3. 03ただ事後の対応には限界があるため、与信管理と売掛保証で前もって備えることが大切です。
第二章本文◆ ◆ ◆

「取引先が倒産しそうだ」「売掛金が回収できないかもしれない」——この不安に直面したとき、多くの経営者がまず知りたいのは「倒産したら、うちの売掛金はどうなるのか?」という一点です。結論から言うと、取引先が法的に倒産した場合、売掛金は原則として全額は戻らず、数%〜ゼロに終わることが少なくありません。理由は、倒産手続が「債権者平等の原則」で動くためです。

本記事は、運営元 株式会社PROTOCOL(売掛債権・財務戦略支援)の実務知見をもとに、①倒産の種類ごとに売掛金がどう扱われるか ②回収の優先順位(配当順位) ③倒産後でも回収を試みられる手段 ④そもそも倒産リスクに備える方法までを、編集部が実務目線で整理した完全ガイドです。

01結論:倒産後の売掛金は「原則ほとんど戻らない」。だから備えが要る

社長

取引先が倒産したら売掛金は戻る?

原則ほとんど戻りません。売掛金は順位の低い一般債権で、回収率が数%やゼロのことも珍しくないため、事前の備えが大切です。

ハカセ

取引先が破産などの法的倒産手続に入ると、その会社の財産(残った現金・在庫・売掛金など)は管財人が回収・換価し、すべての債権者に法律で定められた順位と割合で分配されます。これを債権者平等の原則といいます。売掛金は後述のとおり順位の低い「一般債権」にあたるため、分配(配当)の対象として残る財産がほとんどなく、結果として回収率が数%、あるいはゼロになるケースが珍しくありません。

つまり「倒産してから回収しよう」では手遅れになりやすい。重要なのは、①倒産後にできる回収手段を正しく実行すること、そして②次の取引先で同じ目に遭わないよう、与信管理と売掛保証で事前に備えることです。

02取引先の「倒産」には4種類ある

社長

倒産にも種類があるの?

破産、民事再生、会社更生、特別清算があり、売掛金の扱いが変わります。取引先がどの手続に入ったかを、まず確認します。

ハカセ

▶ 関連記事:売掛先が倒産したら支払い義務は?償還請求権なしの意味PROTOCOL Re Finance

ひとくちに倒産といっても、法的手続には複数の種類があり、売掛金の扱いも変わります。まずは自社の取引先がどの手続に入ったのかを確認することが初動です。

  • 🧹
    破産
    会社を清算して消滅させる手続。残余財産を債権者に配当して終了。売掛金は一般債権として配当対象だが、配当率は低いことが多い
  • 🔄
    民事再生
    事業を続けながら再建する手続。再生計画で債権は大幅にカット(一部弁済・残り免除)されるのが一般的
  • 🏢
    会社更生
    主に大企業向けの再建手続。更生計画に沿って弁済され、債権額は大きく圧縮されることが多い
  • 📉
    特別清算
    解散した株式会社の清算手続。協定や個別和解で弁済額が決まる

03倒産したら売掛金の回収順位はどうなる?

社長

売掛金はどの順番で払われるの?

手続費用や税金、未払い給与などが先で、通常の売掛金は一般破産債権としてその後です。財産が尽きればそれ以下には配当されません。

ハカセ

破産手続では、債権は法律で弁済(配当)の順位が定められています。売掛金がどこに位置するかを知ると、「なぜほとんど戻らないのか」が理解できます。上から順に弁済され、財産が尽きればそれ以下には配当されません。

  • ①
    財団債権
    手続費用や一定の租税・労働債権など。手続の中で随時・優先的に支払われる
  • ②
    優先的破産債権
    一定の租税・社会保険料・未払賃金など、法律で優先される債権
  • ③
    一般破産債権
    通常の売掛金・買掛金・貸付金などはここ。財産が残っていれば按分で配当
  • ④
    劣後的破産債権
    期限後の利息・遅延損害金など。最後に回される

04倒産後でも回収を試みられる5つの手段

社長

倒産後でも回収できる方法は?

自社の買掛金との相殺、売った商品からの優先回収、所有権留保による引き上げ、保証人や担保への請求などです。期限があるので早めに専門家へ。

ハカセ

配当を待つだけが回収ではありません。状況により、以下の手段で一般債権より有利に回収できる可能性があります。いずれも要件と期限があるため、早期に専門家へ相談してください。

  • 🔁
    相殺
    取引先に対して自社も買掛金(支払う債務)がある場合、売掛金と相殺できることがある。実質的に優先回収に近い効果
  • 📦
    動産売買の先取特権
    売った商品(動産)がまだ取引先の手元にある等の要件を満たせば、その物から優先的に回収できる場合がある
  • 🔒
    所有権留保
    『代金完済まで所有権は売主に残す』と契約していれば、商品を引き上げられる可能性がある
  • 🤝
    連帯保証・担保
    取引時に連帯保証人や担保を取っていれば、倒産した会社とは別に保証人・担保から回収できる
  • 📝
    債権届出
    配当を受けるための基本手続。期限内に届け出れば、わずかでも配当を受けられる可能性が残る

05倒産発生時の対応:4ステップ

社長

倒産を知ったらまず何をする?

倒産の種類、管財人の連絡先、債権届出の期限を確認します。次に未回収額や契約書、相殺できる買掛金などを整理します。

ハカセ
事実と手続の確認倒産の種類や管財人の連絡先を確かめます
自社債権の棚卸し未回収額や契約書、担保の有無を整理します
回収手段の検討と実行相殺などを弁護士と検討し、債権届出もします
保証・保険の請求加入していれば保証会社へ請求します
  1. STEP 1
    事実と手続の確認
    当日〜数日
    倒産の種類(破産/民事再生など)、管財人・代理人の連絡先、債権届出期限を確認。取引先からの通知書・登記情報をチェック
  2. STEP 2
    自社債権の棚卸し
    数日
    未回収の売掛金額、契約書、納品書、自社の買掛金(相殺可能性)、担保・保証の有無を整理
  3. STEP 3
    回収手段の検討と実行
    期限内
    相殺・先取特権・所有権留保・保証履行請求など、使える手段を弁護士と検討し実行。並行して債権届出を行う
  4. STEP 4
    保証・保険の請求
    契約に応じて
    売掛保証・取引信用保険に加入していれば保証会社へ保険金(保証金)を請求。事前の備えがここで効く

06本当の解決策は「倒産してから」ではなく「倒産に備える」こと

社長

倒産に備えるにはどうすればいい?

売掛保証があります。保証会社が取引先の信用を審査して枠を決め、倒産や長期未払いの時に、保証限度の範囲で代わりに支払う仕組みです。

ハカセ

ここまで見たとおり、倒産後の回収手段は限られ、結果も不確実です。だからこそ、未回収リスクそのものを取引前に移転しておく方法が有効です。それが売掛保証(取引信用保険)です。

売掛保証は、保証会社が取引先の信用力を審査して保証枠を設定し、取引先が倒産・長期未払いになった場合に、契約した保証限度の範囲で保証会社が代わりに支払う仕組みです。倒産時に「配当を数%待つ」のではなく、「保証会社から支払いを受ける」状態を作れるため、連鎖倒産の防止にもつながります。仕組みの詳細は売掛保証とは?仕組みと比較ポイント、与信の見極めは取引先与信審査の完全ガイドもあわせてご覧ください。

07取引先が倒産した場合の売掛金に関するよくある質問

Q1:取引先が倒産したら、売掛金は全額戻りませんか?

A1:法的倒産手続では、売掛金は順位の低い「一般債権」として扱われ、残った財産を多数の債権者で按分するため、回収率は数%〜ゼロになることが多いのが実務です。

相殺や担保など条件が合えば、一部をより有利に回収できる場合があります。

Q2:倒産した取引先に、まだ自社が支払う買掛金があります。相殺できますか?

A2:一定の要件を満たせば、売掛金と買掛金を相殺できる場合があり、実質的に優先回収に近い効果が得られます。

要件・時期に制約があるため、早めに弁護士へ確認してください。

Q3:債権届出をしないとどうなりますか?

A3:期限内に債権届出をしないと、配当を受けられなくなる場合があります。

倒産通知が届いたら、まず手続の種類と届出期限を確認してください。

Q4:民事再生や会社更生だと、破産より多く回収できますか?

A4:再建型の手続では事業が継続されますが、再生計画・更生計画によって債権額は大幅にカットされるのが一般的です。

破産より回収できるとは限らず、計画内容によります。

Q5:倒産リスクを事前に減らす方法はありますか?

A5:取引先の信用調査・与信管理でリスクの高い取引を抑えること、契約で所有権留保や連帯保証を設定すること、そして売掛保証(取引信用保険)で倒産・未払い時に保証会社から支払いを受けられる状態を作ることが有効です。
最終更新日 2026年10月30日
編集 資金繰り総研 編集部(株式会社 PROTOCOL)

本記事は 資金繰り総研 編集部が制作したものです。資金繰り総研は中小企業・個人事業主のファクタリング業者選びを支援するメディアで、86 社の業者を公開情報・提携データをもとに比較・評価しています。

第三章次の一歩◆ ◆ ◆
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資金繰り総研 編集部

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