01選ぶ前に決めておくこと
リース会社を比べる前に何を決める?
導入する機種や台数、使う予定の期間、保守の範囲、月々と総額の予算です。ここがあいまいだと、見積もりの条件がそろわず比べられません。
リース会社を比べる前に、自社の側で決めておくことがあります。ここがあいまいだと、各社から出てくる見積もりの条件がばらばらになり、正しく比べられません。
- 導入する物件:機種・仕様・台数・付属品。販売会社(サプライヤー)も決まっているか。
- 使う予定の期間:何年使い、その後は入れ替えるのか、使い続けるのか。
- 保守の範囲:保守契約を別に結ぶのか、リースに含めたいのか。
- 予算:月々払える上限と、総額として許容できる範囲。
- リースでよいか:購入や融資、割賦のほうが合う可能性はないか。
ファイナンス・リースは、利用者が選んだ物件をリース会社が買って貸す仕組みです。物件と販売会社は利用者が決めるのが基本です。リース会社を選ぶことは、主に「資金の条件と契約の条件を選ぶこと」だと考えると整理しやすくなります。
物件と販売会社が決まっていれば、リース会社は複数に打診できます。販売会社が特定のリース会社を案内してくることも多いですが、それ以外の会社で扱えるかを確認する余地はあります。逆に、物件がまだ決まっていない段階でリース会社に相談しても、正確な見積もりは出ません。まずは販売会社から物件の見積書を取り、それをもとにリース会社へ相談する順番が基本です。
使う予定の期間は特に重要です。リース期間は途中で短くできないため、入れ替えの予定より長い期間で契約すると、使わない期間のリース料も払うことになります。反対に、期間を短くしすぎると月額が高くなり、毎月の資金繰りを圧迫します。売上の入金のペースと、毎月の固定費の水準を見ながら決めましょう。
保守の範囲も、最初に社内で決めておきたい点です。故障時にすぐ対応してほしいのか、定期点検だけで足りるのかで、保守の費用は大きく変わります。必要な水準を決めておくと、各社の提案を同じ物差しで比べられます。
そもそもリースが合うか迷う場合は、先にリース vs 購入|どちらが得?やリースと割賦の違いを確認してください。リースの基本はリースとは?で解説しています。
02リース会社のタイプと傾向
リース会社にも種類があるんですか?
成り立ちで大まかに総合系・メーカー系・独立系などに分けられます。あくまで傾向で、実際の対応範囲は会社ごとに大きく違います。
リース会社は、成り立ちや得意分野で大まかに分けると整理しやすくなります。以下はあくまで傾向です。実際の対応範囲は会社ごとに大きく異なります。
| タイプ | 主な成り立ち | 得意としやすいこと | 確認したいこと |
|---|---|---|---|
| 総合系 | 金融機関や商社などのグループに属し、幅広い物件を扱う | 車両・事務機器・製造設備など、複数の物件をまとめて相談しやすい | 小口の案件でも対応が丁寧か、窓口の対応速度 |
| メーカー系 | 機器メーカーのグループ会社 | 自社製品のリースと保守を一体で提案しやすい | 他社製品も扱えるか、保守を切り離した場合の条件 |
| 独立系 | 特定のメーカーや金融グループに属さない | 物件の組み合わせや条件の柔軟さ、判断の速さ | 中途解約や満了時の扱い、会社の財務の安定性 |
| 特定分野に強い会社 | 医療・建設・IT機器など特定業種に特化 | 業種特有の設備や中古市場に詳しい | 対象外の設備をどう扱うか |
どのタイプが「良い」ということはありません。導入する物件と、重視する点で向き不向きが変わります。たとえば、特定メーカーの医療機器を入れるならメーカー系や医療に強い会社、車両と事務機器をまとめたいなら総合系、といった考え方です。
タイプの違いは、提案の内容にも表れやすくなります。メーカー系は、保守やサポートと組み合わせた「一式」の提案になりやすい傾向です。手間が少ない一方、保守料がリース料に含まれていると、物件そのものの費用が見えにくくなります。総合系や独立系に同じ物件で見積もりを依頼し、保守を別にした場合の金額と比べると、内訳を確かめやすくなります。
また、会社の規模が大きいほど条件がよい、とは限りません。小口の案件では、地域の会社や特定分野に強い会社のほうが、対応が早く柔軟なこともあります。業種別の考え方は医療機器リース、厨房機器の調達比較、複合機のリースと分割購入でも整理しています。
03見積もりで確認すべき項目
見積もりでは何を確認すればいい?
物件価格が販売会社の見積書と合っているか、リース期間、月額と総額、保守や保険の範囲、中途解約の時の支払いなどです。
リース事業協会は、月額リース料を「物件価格・金利・固定資産税・保険料・管理費や利益の合計を、リース期間の月数で割ったもの」と説明しています。見積もりでは、この中身と、契約の前提条件を確認します。
| 項目 | 確認したいこと |
|---|---|
| 物件価格 | 見積もりの前提になっている物件代金。販売会社の見積書と一致しているか |
| リース期間 | 何か月か。税務上の下限(法定耐用年数の70%、10年以上は60%)を満たしているか |
| 月額リース料と総額 | 月額×月数の総支払額。前払いや初回の支払いの有無 |
| 保守・メンテナンス | リース料に含むのか、別契約か。範囲と費用 |
| 保険 | 付保される保険の種類と、カバーされない損害の範囲 |
| 中途解約時の支払い | 規定損害金・残リース料の計算方法 |
| 満了時の扱い | 再リース料の水準、返却場所と費用、原状回復の範囲 |
| 保証人 | 代表者などの連帯保証が必要か |
保険については、どのような事故が対象で、何が対象外かを確認しておきましょう。リース事業協会の標準的な契約書では、物件が滅失・損傷しても、利用者はリース料の支払いを拒めないとされています。保険でカバーされない損害は、利用者の負担になりえます。
満了時の再リース料は、もとのリース料より低くなるのが一般的とされます。ただし、具体的な水準は会社や契約で違います。長く使う予定なら、再リースの条件まで含めて比べると、実際に払う総額に近づきます。
見積もりは書面でもらいましょう。口頭の説明だけでは、後から条件の違いを確かめられません。料率(物件価格に対する月額の割合)を示された場合も、必ず総支払額に直して比べてください。総額が膨らむ仕組みはリース料は結局高い?、実質的な負担の考え方はリースの実質金利で解説しています。
04相見積もりの比べ方:計算例
月額が安いほうが得ですよね?
そうとは限りません。例では月額が3,000円安いB社が、期間が1年長いため、総額は38万4,000円多くなります。
月額が安いほうが得とは限りません。説明用の仮定の数字で確かめてみます。実際の料率を示すものではありません。
前提(仮定):同じ物件・同じ保守条件で、2社から見積もりを取った。
| 項目 | A社 | B社 |
|---|---|---|
| リース期間 | 60か月(5年) | 72か月(6年) |
| 月額リース料 | 5万円 | 4万7,000円 |
| 総支払額 | 5万円×60=300万円 | 4万7,000円×72=338万4,000円 |
月額はB社が3,000円安く見えます。しかし期間が1年長いため、総額はB社のほうが38万4,000円多くなります。もし5年で入れ替える予定なら、B社の6年目のリース料は使わない設備に払うことになりかねません。
正しく比べるための手順は次のとおりです。
- 物件の仕様・台数・保守の範囲を、全社に同じ条件で伝える
- リース期間を同じ月数にそろえて見積もりを依頼する
- 総支払額(月額×月数+前払いなど)を計算する
- 中途解約・満了時の条件を並べて比べる
- サポートや対応の速さなど、数字以外の点を加えて判断する
なお、A社で5年契約し、満了後に1年再リースする場合も考えられます。その場合の総額は「300万円+1年分の再リース料」になります。再リース料が低ければ、B社の6年契約より総額が少なくなる可能性があります。このように、期間の選び方と満了後の扱いまで含めて考えると、比較の精度が上がります。
期間をそろえたうえで、月額の差が小さい場合は、サポートや満了時の条件の差が決め手になることもあります。
05選び方の手順:5つのステップ
選ぶときはどんな順番で進める?
見積書を取る、期間と予算を決める、候補を2〜3社に絞る、同じ条件で見積もりを頼む、総額と条件で比べる、という順番です。
ここまでの内容を、実際の手順に落とし込みます。順番どおりに進めると、比較の抜け漏れを防ぎやすくなります。
- 物件の見積書を取る:販売会社から、機種・台数・設置費・保守を分けた見積書をもらう。
- 使用期間と予算を決める:何年使うか、月々いくらまで払えるかを社内で決める。
- 候補を2〜3社に絞る:物件の種類や業種に合うタイプから候補を選ぶ。
- 同じ条件で見積もりを依頼する:物件・期間・保守の範囲をそろえ、書面で回答をもらう。
- 総額と契約条件で比べる:総支払額、中途解約、保険、満了時の扱い、保証の要否を表に並べて判断する。
比較表は、社内で共有できる形にしておくと便利です。決裁者に説明するときや、数年後に入れ替えを検討するときにも役立ちます。資金繰り全体への影響は、毎月の支出として資金繰り表に織り込んで確認しましょう。テンプレートはテンプレート集で用意しています。
なお、見積もりを依頼した段階で契約を急がされることがあります。「今月中なら安くなる」といった説明があっても、総額と条件を確かめるまでは署名しないことが大切です。条件が本当によければ、数日検討しても大きく変わらないことが多いです。
06契約書で確認したい主な条項
契約書ではどこを見ればいい?
中途解約の禁止、引渡しの日、保守・修繕の負担、保険、品質に問題があった時の扱いなどです。会社ごとに内容が違う場合があります。
リース事業協会は、参考として標準的なリース契約書を作成しています。その主な条項の内容から、契約前に確認したい点をまとめます。個々の会社の契約書は、これと異なる場合があります。
- 中途解約の禁止:契約に定める場合を除き、解除できない。
- 物件の引渡し:利用者が物件を検査し、物件借受証を出した日が引渡し日(リース開始日)になる。
- 保守・修繕:保守・点検・整備は利用者が行い、修繕費も利用者が負担する。
- 保険:リース会社が物件に保険を付け、事故の際は保険金で修繕費や損害賠償金を補う。
- 品質の不適合:リース会社は責任を負わず、利用者が販売会社に直接請求する。リース料の支払いは免れない。
- 契約違反:リース料の不払いなどがあれば、リース会社は契約を解除でき、利用者は物件を返して規定損害金を払う。
- 再リース:満了前に協議して、同じ物件で新たに契約できる。
- 返還:満了や解除の際は、利用者の負担で原状回復したうえで返す。
特に、物件借受証の発行は慎重に行いましょう。物件がそろっていない、設置が終わっていない段階で借受証を出すと、使えない期間にもリース料が発生しかねません。解約の条件はリースの途中解約と違約金で詳しく解説しています。
07販売店経由のリースで気をつけること
販売店にその場で勧められたら?
説明が契約書と一致しているか、今のリースの残りの精算、期間と総額を書面で確かめます。不安ならその場で決めずに持ち帰りましょう。
複合機や電話機などでは、販売店が営業し、その場でリース契約の申込みまで進めることがよくあります。販売店とリース会社が提携している形です。手続きが早い反面、次の点に注意が必要です。
- 説明と契約内容の食い違い:「今より安くなる」「いつでも解約できる」といった説明が、契約書の内容と一致しているか確かめる。
- 既存リースの残債:入れ替えを勧められたとき、今のリースの残りがどう精算されるか確認する。
- 総額の確認:月額だけでなく、期間と総額を書面で確認する。
- 必要性:今の業務に本当に必要な台数・機能か。
販売店の説明に不安があるときは、その場で決めずに見積書と契約書の写しを持ち帰りましょう。リース会社に直接電話して、期間・総額・解約条件を確認するのも有効です。リース会社は契約の当事者なので、条件を説明する立場にあります。
小口のリースをめぐっては、販売店の強引な勧誘による苦情が問題になってきました。リース事業協会は「小口リース取引に係る自主規制規則」を定め、会員会社の取り組み状況を公表しています。電話の「リース相談窓口」も設けています。
また、事業者が営業のために結ぶ契約は、特定商取引法のクーリング・オフなどの規定の対象外とされています(同法第26条)。「後で取り消せばよい」とは考えず、署名の前に確認することが大切です。後悔しやすい例はリースで後悔しやすいパターンにまとめています。
08リース会社選びでよくある失敗
よくある失敗は何ですか?
月額だけで決めることです。月額は期間を延ばせば下がるので、総額が増えることがあります。保守の中身を確かめないのも、よくある失敗です。
リースは数年にわたる契約です。選び方を誤ると、長い期間にわたって影響が残ります。よくある失敗と、その防ぎ方をまとめます。
月額だけで決めてしまう
月額を下げる一番簡単な方法は、期間を延ばすことです。月額の安さだけで選ぶと、総額が増えたり、使い終わった後も支払いが続いたりします。必ず期間をそろえて総額で比べましょう。
保守の中身を確認しない
保守込みの見積もりでは、点検の頻度、部品代、出張費などがどこまで含まれるかが会社ごとに違います。含まれない費用が多いと、実際の負担は見積もりより大きくなります。
入れ替え時の残債を見落とす
契約期間の途中で新しい機種への入れ替えを勧められることがあります。その際、今の契約の残りのリース料が新しい契約に上乗せされていないかを確認しましょう。月額が下がったように見えても、期間が延びて総額が増えていることがあります。
保証の範囲を確認しない
法人の契約で代表者の連帯保証を求められる場合、事業がうまくいかなくなったときに個人にも支払い義務が及びます。保証の有無と範囲は、契約前に確認しておきましょう。
09審査と申込みの準備
リース会社は物件代金を先に払い、リース料で回収します。そのため審査があります。基準は公表されていないことが多く、会社によっても違います。一般に、次のような資料や点が確認されることが多いです。
- 直近の決算書(2〜3期分を求められることが多い)や試算表
- 業歴、事業内容、取引先
- 既存の借入・リースの状況
- 物件の見積書と導入の目的
- 代表者の連帯保証の可否
審査では、導入する物件の内容も見られます。事業との関係がわかりにくい物件や、中古市場がない特注品は、条件が厳しくなることがあります。物件を何に使い、どのように売上につながるのかを、簡単に説明できるようにしておくと話が進みやすくなります。
1社で審査が通らなくても、別の会社では通ることもあります。ただし、短期間に何社にも申し込むと、手続きの負担が大きくなります。まずは2〜3社に絞り、条件をそろえて相談するのが現実的です。
なお、リースの残高は、金融機関が融資を判断するときに返済負担として見られることがあります。リースと融資を並行して検討する場合は、全体の返済計画を事業計画書・資金繰り表で整理しておくと説明しやすくなります。
10ほかの選択肢と候補の探し方
リース会社選びに入る前、または見積もりが出た段階で、ほかの手段とも比べておくと判断の精度が上がります。
| 手段 | 向きやすい場面 | 注意点 |
|---|---|---|
| リース | 初期費用を抑え、一定期間で入れ替えたい | 原則中途解約できない。総額は物件価格より大きくなる |
| 融資で購入 | 長く使い、総額を抑えたい | 審査と担保・保証。固定資産税や保険は自社負担 |
| 割賦(分割購入) | 最終的に自社の資産にしたい | 途中で手放す場合は残金の精算が必要 |
| レンタル | 短期間だけ使う | 長期で使うと割高になりやすい |
| 補助金の活用 | 対象事業に合う設備投資 | 採択は確約されず、原則後払い |
※一般的な傾向です。条件は個別に異なります。
融資の選択肢は融資・デットのまとめ、補助金は補助金・助成金で整理しています。手段全体を並べて考えたい場合は比較・診断をご利用ください。
候補の探し方
具体的な候補を探すときは、タイプや特徴から見比べると効率的です。リース会社の図鑑ではタイプ別に整理し、リース会社一覧では横並びで確認できます。候補を2〜3社に絞ったら、同じ条件で見積もりを依頼しましょう。
リース会社選びに時間をかけすぎなくてよい人
- 導入する物件がメーカー指定で、リースの窓口も事実上決まっている
- 金額が小さく、総額の差がわずか
この場合でも、総額と中途解約・満了時の条件だけは必ず確認してください。
リース自体が向いていない可能性がある人
- 事業の継続期間が見通せず、途中でやめる可能性が高い
- 耐用年数を大きく超えて使い続けたい
- 手元資金や低い金利の融資で、無理なく購入できる
判断に迷う場合は、無料相談もご利用いただけます。当サイトは特定のリース会社の仲介・勧誘を行うものではありません。
11よくある質問
どのタイプのリース会社を選べばよいですか?
見積もりはどこを比べればよいですか?
料率とは何ですか?
何社くらいに見積もりを取ればよいですか?
販売店に勧められたリース会社でないと契約できませんか?
契約後にクーリング・オフはできますか?
審査に落ちたらどうすればよいですか?
出典・参考(6件)
- 公益社団法人リース事業協会「リース契約の特徴」 https://www.leasing.or.jp/information/finance.html(2026年10月確認)
- 公益社団法人リース事業協会「リース契約書の主な条項」 https://www.leasing.or.jp/information/joukou.html(2026年10月確認)
- 公益社団法人リース事業協会「リースの種類」 https://www.leasing.or.jp/information/kind.html(2026年10月確認)
- 公益社団法人リース事業協会「小口リース対応(リース相談窓口・自主規制規則)」 https://www.leasing.or.jp/leases/index.html(2026年10月確認)
- 国税庁 タックスアンサーNo.5704「所有権移転外リース取引」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5704.htm(2026年10月確認)
- e-Gov法令検索「特定商取引に関する法律」(第26条) https://laws.e-gov.go.jp/law/351AC0000000057(2026年10月確認)
本記事は一般的な情報提供で、特定の金融商品の勧誘を目的とするものではありません。条件は事業者や状況により異なります。契約の内容は、専門家にご確認ください。
