個人事業主でも融資は受けられる?
受けられます。日本政策金融公庫や自治体の制度融資は、法人だけでなく個人事業主も対象にしているのが一般的です。法人でないことだけを理由に断られるわけではありません。
個人事業主の場合、法人の「決算書」にあたるのが確定申告書です。審査では、確定申告書の売上や所得(売上から経費を引いた儲け)をもとに、返済できるかどうかが見られます。帳簿をきちんとつけて、売上と経費の中身を説明できるようにしておくと、話が進みやすくなります。
相談の窓口は、公庫の支店のほか、市区町村の産業振興の窓口、商工会議所・商工会、地元の信用金庫などです。商工会議所や商工会では、融資の申し込み前に事業計画の書き方などを相談できる場合があります。一人で書類を作るのが不安な方は、こうした窓口を早めに頼ってみてください。
創業したばかりの場合
まだ確定申告の実績がない方は、公庫の創業向けの融資が候補になります。融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)ですが、実際の融資額は数百万〜1,500万円程度が多く、自己資金や事業計画の内容で変わります。詳しくは公庫の創業融資の解説をご覧ください。制度融資については制度融資の解説にまとめています。
個人事業主は、いくらくらい借りられる?
運転資金(仕入れや外注費など、日々の支払いに使うお金)の場合、月商(1か月あたりの売上)の1〜3か月分が一般的な目安です。月商は年商を12で割って出します。
| 年商(例) | 月商(年商÷12) | 運転資金の目安(月商1〜3か月分) |
|---|---|---|
| 300万円 | 25万円 | 25万〜75万円 |
| 600万円 | 50万円 | 50万〜150万円 |
| 1,000万円 | 約83万円 | 約83万〜250万円 |
この表はあくまで計算上の目安です。個人事業主の場合は、事業の数字に加えて、生活費をまかなったうえで返済できるかも見られやすくなります。所得が少ない場合や、ほかにローンがある場合は、目安より少なくなることがあります。反対に、売上が安定して伸びている、取引先が決まっている、といった材料があれば、計画に沿った金額を相談しやすくなります。
機材や車両などの設備資金は、運転資金とは別に見積書の金額をもとに考えます。必要な額を整理したいときは、必要運転資金の計算も参考にしてください。
フリーランスの請求書は、ファクタリングで現金化できる?
ファクタリングは、まだ入金されていない売掛金(後で受け取る代金)を売って、早めに現金にする方法です。売掛金の70〜95%程度が資金化の目安で、最短即日〜数日で入金されることがあります。ただし、個人事業主・フリーランスが使う場合は、次の点に注意が必要です。
- 法人専用の会社が多い:ファクタリング会社の中には、利用者を法人に限っているところが少なくありません。個人事業主に対応しているかを、申し込む前に確認します。
- 個人のお客様向けの売掛金は対象外が一般的:対象になるのは、主に法人や事業者への請求書です。一般の消費者からの代金は、対象外になるのが一般的です。
- 手数料が高めになりやすい:取引先に知らせない2社間は5〜20%程度、取引先も関わる3社間は1〜10%程度が目安です。
手数料は1回あたりで見ると小さく見えても、年率に直すと高くなることがあります。毎月続けると収入が大きく減るので、一時しのぎに限って使いましょう。仕組みはファクタリングの解説にまとめています。
支払いを少し先に延ばす方法はある?
入金が来る前に外注費や仕入れ代金の支払い日が来てしまう場合は、請求書カード払いが使えることがあります。取引先への請求書をカードで支払い、カードの引き落とし日まで支払いを最大60日程度先へ延ばす仕組みです。手数料は1回3%前後が目安です。(請求書カード払いの解説)
パソコンや撮影機材、車両など仕事の道具をそろえたいときは、リース・割賦も選択肢です。設備価格の80〜100%程度をまかなえ、月々の支払いにならせます。(リース・割賦の解説)
どちらも、使った分はあとで払う必要があります。毎月の入金予定と支払い予定を並べて、無理なく払えるかを確かめてから使いましょう。
フリーランスの場合、取引先からの入金が月末締め・翌月末払いなど、仕事をしてから1〜2か月後になることがよくあります。こうした入金の遅れが続く場合は、見積もりや契約の段階で、着手金(仕事を始める前に一部を受け取るお金)や支払いサイト(請求から入金までの期間)を相談してみるのも一つの方法です。資金を借りる前に、入金の流れそのものを見直せないかを考えてみましょう。
補助金は個人事業主も対象になる?
小規模な事業者向けの補助金には、個人事業主も対象になるものが多くあります。販路開拓、ホームページ作成、設備の導入などに使え、一般的に投資額の1/2〜2/3程度が補助されます。上限は制度によって違います。
ただし、補助金は原則として後払いです。先に自分で全額を支払い、報告が終わってから補助分が入金されます。申請から入金まで4か月〜1年程度かかることもあり、採択(選ばれること)されないこともあります。交付が決まる前に発注した経費は対象外になる制度が多い点にも注意が必要です。
募集の時期や条件は毎年変わるため、最新の公募要領を確認し、分からないことは商工会議所・商工会や専門家に相談してください。(補助金・助成金の解説)
審査で見られる、個人ならではのポイントは?
個人事業主は、事業と個人の財布が近い分、審査では個人としての信用も見られやすくなります。
- 税金や保険料の未納がないか:所得税・住民税・国民健康保険料・国民年金などの未納があると、融資が難しくなることがあります。
- カードやローンの延滞がないか:個人の信用情報(返済の記録)を確認されることがあります。
- 事業と生活のお金を分けているか:事業用の口座を作り、売上の入金と経費の支払いをそこにまとめると、お金の流れが説明しやすくなります。
- 資金の使い道がはっきりしているか:「何に・いくら・いつ使うか」を見積書などで示します。
売上が増えてくると、法人化(会社を作ること)を考える方もいます。法人化すると使える方法が増えることもありますが、税金や社会保険の負担も変わります。判断は税理士などの専門家に確認してください。また、家族の口座や個人のカードローンで事業資金をまかなう方もいますが、事業のお金の流れが見えにくくなり、のちの融資の審査で説明しにくくなることがあります。
準備しておきたい書類・数字
- 直近2期分の確定申告書(青色申告なら決算書も)
- 今年の月ごとの売上・経費が分かる帳簿
- 事業用の通帳(入出金の記録)
- 主な取引先と請求書の一覧
- 資金の使い道が分かる見積書
- 税金・国民健康保険料などの納付が確認できる書類
- 今後6か月程度の入出金の予定表
売上が伸びて取引先が法人中心になってきたら、法人化によって使える調達方法が広がることがあります。ただし税金や社会保険の負担も変わるため、法人化のタイミングは税理士などの専門家と一緒に検討してください。
よくある質問
個人事業主でも日本政策金融公庫から借りられますか?
フリーランスでもファクタリングは使えますか?
確定申告の所得が少ないと融資は難しいですか?
法人化したほうが資金調達しやすくなりますか?
- 日本政策金融公庫 新規開業・スタートアップ支援資金
- 日本政策金融公庫(国民生活事業)融資制度の案内
- 全国信用保証協会連合会 信用保証制度の概要
- 中小企業庁 中小企業施策利用ガイドブック
本ページは一般的な情報提供です。金額・条件は目安で、実際は各金融機関・事業者の審査で決まります。法律・税務は専門家にご確認ください。