資金繰り
入ってくるお金と出ていくお金の時期を合わせ、支払いが止まらないようにすること。
売上が立っても、お金が口座に入るのは後になることが多くあります。一方で、仕入れや給料、家賃の支払い日は先に来ます。この「入る日」と「出る日」のずれを先に見つけ、足りない月に備えるのが資金繰りです。利益が出ているかどうかとは別の話なので、黒字の会社でも資金繰りに困ることがあります。数か月先まで見通しておくことが大切です。
資金繰りや資金調達の話でよく出てくるのに、説明しにくい言葉を集めました。1つずつ、絵と「ひとことで言うと」と数字の例で説明します。法律や制度の数字は、法令や公的機関の公表に沿っています。
気になる言葉を押すと、その説明に移動します。
お金がいつ入り、いつ出ていくか。会社のお金の流れを読むための、いちばん土台になる言葉です。
入ってくるお金と出ていくお金の時期を合わせ、支払いが止まらないようにすること。
売上が立っても、お金が口座に入るのは後になることが多くあります。一方で、仕入れや給料、家賃の支払い日は先に来ます。この「入る日」と「出る日」のずれを先に見つけ、足りない月に備えるのが資金繰りです。利益が出ているかどうかとは別の話なので、黒字の会社でも資金繰りに困ることがあります。数か月先まで見通しておくことが大切です。
一定の期間に、会社に入った現金と出ていった現金の流れのこと。
キャッシュフロー計算書では、現金の動きを「営業」「投資」「財務」の3つに分けて見ます。営業は本業で稼いだ現金、投資は設備の購入や売却、財務は借入や返済です。損益計算書の利益と違い、売掛金のようにまだ入っていないお金は含みません。本業の営業キャッシュフローが続けてマイナスなら、借入でしのいでいる状態かもしれないので注意が必要です。
月ごとの入金・出金・残高を並べて、お金が足りなくなる月を見つける表のこと。
前月から繰り越した残高に、その月の入金を足し、出金を引いて、月末の残高を出します。これを数か月先まで並べると、残高がマイナスになる月が見えてきます。実績だけでなく予定も書くのがポイントです。金融機関に融資を相談するときに提出を求められることもあります。予定の入金は遅れることもあるので、少し厳しめに見積もると安心です。
仕入れや給料など、商売を毎月回し続けるために必要なお金のこと。
商品を仕入れてから売上代金が入るまでの間、会社は自分のお金で支払いを立て替えています。その立て替え分が運転資金です。目安として「売上債権+在庫−仕入債務」で計算する方法がよく使われます。売上が伸びると売掛金や在庫も増えるので、運転資金も増えます。成長している会社ほどお金が足りなくなりやすいのは、このためです。
決算では利益が出ているのに、支払いに使う現金が足りずに倒産すること。
利益は「売上が立った時点」で計上されますが、現金が入るのはもっと後のことがあります。入金より先に仕入れや返済の支払いが重なると、帳簿上は黒字でも払えなくなります。大きな受注で仕入れが増えたときや、取引先の支払いが遅れたときに起こりやすくなります。利益だけでなく、資金繰り表で現金の残高を見ておくことが予防になります。
支払いの予定に対して手元の現金が足りず、払えない状態になること。
資金繰り表の月末残高がマイナスになる月は、そのままでは資金ショートが起こります。支払いが遅れると、取引先や金融機関からの信用を失うおそれがあります。手形や小切手の場合は不渡りにつながることもあります。早めに分かれば、融資の相談や入金を早める工夫など、とれる手が増えます。直前になるほど選べる手段は少なく、費用も高くなりがちです。
売上が立ってから、その代金が実際に入金されるまでの期間のこと。
「月末締め翌月末払い」なら、入金まではおよそ30日から60日です。会社全体で見るときは、売掛金などの売上債権を月商で割った「売上債権回転期間」を使います。この期間が長いほど、お金が入るまで待つ時間が長く、運転資金が多く必要になります。取引先ごとに条件が違うので、大口の取引先の条件を確認しておくことが大切です。
仕入れなどの代金を、請求を受けてから実際に支払うまでの期間のこと。
支払サイトが入金サイトより短いと、お金が入る前に払う期間ができ、その分の資金が必要になります。逆に支払サイトの方が長ければ、手元のお金に余裕が生まれます。ただし、相手の資金繰りにも影響するので、一方的に支払いを遅らせるのは信用を落とします。条件を変えたいときは、理由を説明して事前に相談するのが基本です。
すぐに支払いに使える現金や預金などが、月商の何か月分あるかのこと。
手元流動性比率は「現預金(すぐ換金できる有価証券を含めることもあります)÷月商」で計算します。何か月分の売上に当たるお金を持っているかを示し、急な支払いや売上の落ち込みに耐える力の目安になります。業種や会社の規模で適切な水準は変わります。多すぎる現金は活用できていない可能性もあるので、数字だけで良し悪しは決まりません。
年商を12で割った平均もふくめ、会社の1か月あたりの売上高のこと。
資金繰りの多くの指標は、月商を物差しにして考えます。たとえば「手元資金は月商の何か月分か」「売掛金は月商の何か月分か」といった見方です。季節で売上が大きく動く業種では、年商を12で割った平均と実際の月の売上がずれます。資金繰りを考えるときは、平均だけでなく、売上の少ない月の数字も確認しておくと安心です。
借入や設備投資を除いた、本業で毎月くり返し入る現金と出る現金の差のこと。
資金繰り表では、売上の入金から、仕入れ・給料・家賃などの支払いを引いた差を経常収支と呼びます。ここがプラスなら、本業で現金を生み出せています。マイナスが続くと、借入や手元資金を取り崩して支払っている状態です。借入返済は経常収支のプラスから払うのが基本なので、まずここを黒字にすることが立て直しの出発点になります。
銀行や公的機関からお金を借りるときに出てくる言葉です。返す約束がある代わりに、費用は比較的おさえやすい手段です。
金融機関などからお金を借り、決められた期日までに利息をつけて返すこと。
会社の資金調達のうち、もっとも基本的な方法です。運転資金と設備資金に分けて申し込むのが一般的です。審査では決算書や資金繰り表、借りたお金の使い道と返済の見通しを見られます。審査から入金までに時間がかかることがあるので、お金が足りなくなる前に相談するのが大切です。返済が始まると毎月の支出が増えるので、返せる額かどうかを先に確かめましょう。
信用保証協会の保証をつけず、金融機関が自らの判断とリスクで貸す融資のこと。
返せなくなったときの損失を金融機関がすべて負うため、保証付き融資より審査は厳しくなりやすいです。一方で、保証料がかからず、保証協会の保証枠とは別に借りられる利点があります。決算の内容や取引の実績を積み、金融機関との信頼関係ができてから受けやすくなります。最初は保証付き融資で実績をつくり、段階的に目指す会社も多くあります。
中小企業が金融機関から借りるとき、その返済を保証してくれる公的な機関のこと。
信用保証協会法にもとづく機関で、中小企業は保証料を払って保証を受けます。2007年10月からは責任共有制度により、原則として融資の80%を協会が保証し、残りは金融機関がリスクを負います(一部の保証を除く)。返せなくなると協会が金融機関に代わりに払い(代位弁済)、その後は会社が協会に返す義務を負います。借金がなくなるわけではない点に注意が必要です。
自治体・信用保証協会・金融機関の三者が協力して中小企業に貸す融資のこと。
自治体が融資の制度をつくり、信用保証協会が保証し、金融機関がお金を貸します。制度によっては、自治体が利息や保証料の一部を補助してくれることがあります。創業向けや設備投資向けなど、目的ごとにメニューが分かれています。条件や補助の内容は自治体ごとに大きく違い、年度で変わることもあるので、地元の自治体や商工会議所で最新の情報を確認しましょう。
一般の金融機関の貸出を補う役割を持つ、国の政策金融機関のこと。
株式会社日本政策金融公庫法にもとづき、一般の金融機関が行う金融を補完することを目的にしています。創業したばかりで実績が少ない会社や、小規模な事業者でも相談しやすいのが特徴です。直接お金を借りるので、信用保証協会の保証は通常使いません。ただし審査はあり、事業計画の内容や自己資金、返済の見通しをしっかり見られます。
決められた上限額(極度額)までなら、必要なときに何度でも借りて返せるしくみのこと。
金融機関とあらかじめ契約し、上限額の範囲で自由に借りたり返したりできます。利息は実際に使った金額と期間にだけかかるのが一般的です。入金と支払いのタイミングのずれを埋めるのに向いています。一方で、契約の更新時に審査があり、業績が悪くなると上限額を下げられたり、更新されなかったりすることがあります。長期の設備資金には向きません。
事業者向けに、担保や保証人なしで比較的早く借りられる融資商品のこと。
銀行や貸金業者などが扱い、審査が早く、書類も少なめなことが多いのが特徴です。その分、銀行の通常の融資より金利は高めになりやすいです。貸金業者から借りる場合でも、利息制限法の上限(元本100万円以上は年15%など)を超える部分の利息は無効です。手軽さから借入が重なりやすいので、返済額の合計が経常収支のプラスの中におさまるか確認しましょう。
借りたお金にかかる利息の割合で、ふつう1年あたりの%で表すこと。
固定金利は、借りたときの金利が返し終わるまで変わりません。返済額の見通しが立てやすい反面、借りる時点では変動金利より高めのことがあります。変動金利は、市場の金利に合わせて見直されます。金利が上がると利息も増えるので、上がったときに払えるかを試算しておくと安心です。比べるときは、保証料や手数料も含めた実際の負担で考えましょう。
返せなくなったときに備えて、借りる側が差し出す財産や、代わりに返す人のこと。
担保は土地や建物、預金などの財産で、返済できないときはそこから回収されます。保証人は、会社が返せないときに代わりに返す義務を負う人です。民法では、事業のための借入を経営者以外の第三者が保証する場合、原則として契約前1か月以内に公正証書で保証の意思を示す必要があります。誰かに保証を頼むときは、その重さを正しく伝えましょう。
会社の借入について、社長などの経営者が個人として返済を保証すること。
会社が返せないと、経営者が個人の財産で返す責任を負います。2013年12月に公表された「経営者保証に関するガイドライン」では、会社と経営者の資産を分ける、財務基盤を強くする、財務状況を正しく開示する、といった状態なら、保証なしの融資を検討するよう求めています。法的な拘束力はありませんが、金融機関に保証を外せないか相談するときの根拠になります。
毎月の返済額を減らしたり、返済期間を延ばしたりするよう金融機関に頼むこと。
リスケジュールを略してリスケと呼びます。返済が苦しくなったとき、資金ショートを防ぐための手段です。金融機関には、立て直しの計画と資金繰り表を示して相談するのが基本です。借金が減るわけではなく、返す期間が延びる分、利息の総額は増えることがあります。リスケ中は新しい融資が受けにくくなるので、計画どおりに立て直せるかが大切です。
借りてからしばらくの間、元金を返さず利息だけを払えばよい期間のこと。
設備を入れてから売上が出るまでや、開業してから軌道に乗るまでの間に、返済の負担を軽くするために設けます。据置期間中も利息はかかります。また、据置が終わると、残りの期間で元金を返すので、毎月の返済額は据置がない場合より大きくなります。据置が終わった月から払えるかどうかを、資金繰り表で先に確かめておきましょう。
まだ入金されていない売上(売掛金や手形)を、期日より前にお金に換えるための言葉です。借りるのとは仕組みが違います。
まだ入金されていない売掛金を専門の会社に売り、期日より前に現金にすること。
金融庁は、ファクタリングを法的には債権の売買(債権譲渡)契約と説明しています。借入ではないので、決算書より売掛先の信用が重く見られることが多いです。ただし手数料は融資の利息より高くなりやすく、年率に直すと大きな負担になることもあります。また金融庁は、ファクタリングを装った高金利の貸付け(偽装ファクタリング)にも注意を呼びかけています。
利用する会社とファクタリング会社の2社だけで契約し、売掛先には知らせない方式のこと。
売掛先への通知や承諾がいらないので、取引先に知られずに早く現金にできます。売掛先からの入金はいったん自社で受け取り、それをファクタリング会社に渡します。ファクタリング会社から見ると回収のリスクが高いため、手数料は3社間より高くなる傾向があり、債権譲渡登記を求められることもあります。受け取ったお金を他の支払いに使ってしまわないよう注意が必要です。
売掛先の承諾をとり、売掛先からファクタリング会社へ直接入金してもらう方式のこと。
利用する会社・ファクタリング会社・売掛先の3社が関わります。売掛先が直接ファクタリング会社に払うので、回収のリスクが下がり、手数料は2社間より低くなる傾向があります。一方で、売掛先に承諾をもらう手間と時間がかかります。資金繰りが苦しいと受け取られるのを心配して、取引先に知られたくない場合には向いていません。
売掛先が払えなかったとき、売った側に代わりに支払いや買い戻しを求められる権利のこと。
償還請求権がない契約をノンリコースと呼びます。この場合、売掛先が倒産しても、売った会社は原則として返済を求められません。金融庁は、売主が集金できなかったときに買い戻す決まりがあるなど、経済的に貸付けと同じ働きをする取引は、貸金業に当たるおそれがあると説明しています。契約書に「買戻し」や「代わりに支払う」といった条項がないか確認しましょう。
取引先との契約で、売掛金を他人に譲ることを禁止したり制限したりする約束のこと。
現在の民法466条では、この特約があっても債権の譲渡そのものは有効とされています。ただし、特約を知っていた、または重大な過失で知らなかった譲受人に対しては、売掛先は支払いを拒んだり、元の取引先に払ったりできます。また、契約違反として取引先との関係が悪くなるおそれもあります。売掛金を売る前に、基本契約書の条項を確認しましょう。
法人が売掛金などを譲ったことを、国の登記に記録して第三者に主張できるようにすること。
動産・債権譲渡特例法にもとづく制度で、使えるのは法人が債権を譲渡した場合です。登記をすると、売掛先以外の第三者に対しては、確定日付のある通知があったものとみなされます。一方、売掛先に対して主張するには、登記事項証明書を渡して通知するか、売掛先の承諾が必要です。2社間ファクタリングで求められることが多く、登記の記録から譲渡が知られることもあります。
受け取った約束手形を期日前に金融機関などへ譲り、利息分を引いた現金を受け取ること。
期日までの日数に応じた割引料を差し引いて、手形を現金に換えます。手形を振り出した相手が期日に払えず不渡りになると、割り引いた側は一般に手形の買い戻しを求められます。売掛先の倒産リスクまで手放せるわけではない点が、償還請求権のないファクタリングとの大きな違いです。割引料のほか、取扱いの手数料がかかる場合もあります。
発生や譲渡を電子債権記録機関の記録で行う、紙を使わない金銭債権のこと。
電子記録債権法(平成19年法律第102号)にもとづく仕組みで、発生も譲渡も電子記録をしないと効力が生じません。全国の銀行が参加する記録機関が扱うものは、一般に「でんさい」と呼ばれます。手形と違って印紙や郵送、紛失の心配がなく、必要な金額だけ分割して譲渡できます。期日前に現金にしたいときは、割引や譲渡を取引金融機関に相談します。
請求書を出す前の、注文書(発注書)を受け取った段階で資金化するファクタリングのこと。
民法では、まだ発生していない将来の債権も譲渡できるとされています。注文書ファクタリングは、この考え方を使い、仕事を始める前の段階で材料費や人件費を用意するための手段です。一方で、納品や検収が終わらないと代金は確定しないため、ファクタリング会社のリスクが大きく、手数料は高くなりやすい傾向があります。途中で注文が取り消されたときの扱いも確認が必要です。
取引先が倒産したり払えなくなったりしたとき、保証会社が売掛金を代わりに支払うしくみのこと。
保証料を払って、取引先ごとに保証してもらう金額の枠を決めます。現金を早くもらうためではなく、回収できなくなる損失に備えるための手段です。新しい取引先と大きな取引を始めるときなどに使われます。ただし、すでに支払いが遅れている取引先や、保証会社の審査で断られた取引先は対象になりません。対象外となる条件や支払われる上限を契約前に確認しましょう。
取引先の倒産などで売掛金が回収できなくなったとき、損害保険会社が損失を補う保険のこと。
売掛保証と目的は似ていますが、損害保険会社が引き受ける保険商品です。多くの取引先をまとめて対象にする契約が多く、取引先が多い会社に向いています。損失の全額ではなく、決められた割合だけ支払われるのが一般的で、自社の負担分が残ります。保険をかける前から分かっていた信用不安など、支払いの対象外となる場合もあるので、約款をよく読みましょう。
ファクタリングの契約書に出てくる言葉は、ファクタリング用語50でさらに詳しく整理しています。
借りずに、出ていくお金の時期を遅らせる方法と言葉です。手数料と総額を必ず見比べます。
銀行振込で払う請求書を、法人カードで払えるようにするサービスのこと。
サービス会社が取引先へ先に振り込み、自社はカードで支払います。カードの引き落とし日まで支払いを先に延ばせます。手数料がかかるうえ、カードの利用枠を超える額は使えません。毎月続けると手数料が積み上がるので、一時的なずれを埋める使い方に向いています。
商品やサービスの代金を、あとから、または分けて払える仕組みのこと。
BNPLは「Buy Now, Pay Later」の略です。法人向けでは、決済会社が売り手へ代金を立て替え、買い手は決められた期日や回数で決済会社へ払います。買い手は手元のお金を残しやすく、売り手は早く入金を受けられます。審査があり、分割の手数料で総額が増える点に注意します。
リース会社が買った設備を、決まった期間、月額で借りて使うこと。
購入代金を一度に払わずに設備を使い始められるので、手元のお金を残せます。ファイナンスリースは、原則として途中で解約できない契約が多く、やめても残りのリース料を払う形が一般的です。リース料の合計は、買う場合より高くなることがあります。総額と期間を見てから決めます。
機械や設備などを買い、その代金を何回かに分けて払う買い方のこと。
代金を分けて払うので、一度に出ていくお金を小さくできます。リースと違い、払い終われば自社の持ち物になるのが基本です。ただし払い終わるまでは、所有権が売り手や信販会社に残る契約がよくあります。分割手数料のぶん総額が増えるので、一括払いとの差額を確かめます。
仕入れ代金などを払う日を、取引先と話し合って後ろへずらすこと。
「支払サイト」は、締め日から支払日までの期間です。支払いを後ろへずらせれば、そのぶん手元のお金が増え、借りずに資金繰りが楽になります。相手の資金繰りにも影響するので、一方的に決めず、理由と期間を伝えて合意を取ります。下請取引では法律の決まりにも気を配ります。
返済のいらないお金の集め方と言葉です。代わりに渡すものや、入金までの時間に気をつけます。
会社の株式を渡す代わりに、返済のいらないお金を入れてもらうこと。
融資と違い、決まった返済や利息の支払いはありません。そのかわり、出資した人は株主になり、利益の配当や会社の決めごとへの発言権を持ちます。株を渡すほど、経営者の持ち分は小さくなります。だれに、どれだけの株を、いくらで渡すかを先に考えておくことが大切です。
新しく株を発行することで、今の株主の持ち分の割合が下がること。
株の数が増えると、もとの株主が持つ株の数は同じでも、全体に占める割合は小さくなります。割合が下がると、配当や議決権の重みも下がります。安い値段で多くの株を出すほど影響は大きくなります。調達額だけでなく、調達後に自分が何%を持つかを計算してから決めます。
いつ、だれに、どれだけの株を、いくらで渡すかを決めておく計画のこと。
一度渡した株は、あとから取り戻すのが簡単ではありません。そのため、何回かに分けて出資を受ける場合は、回ごとの調達額と株の割合を先に表にしておきます。早い時期に多くの株を渡すと、後の調達で経営者の持ち分が小さくなりすぎることがあります。専門家と相談しながら作ります。
国や自治体が、政策に合う事業の費用の一部を出してくれるお金のこと。
融資と違い、原則として返す必要はありません。ただし申請すれば必ずもらえるわけではなく、審査を経て採択される必要があります。補助されるのは費用の一部で、残りは自己負担です。決められた使い道以外に使うと、交付の取り消しや返還を求められることがあります。
決められた要件を満たして申請すると、原則として受け取れる種類の多いお金のこと。
補助金と同じく、原則として返す必要はありません。補助金は審査で選ばれる必要がありますが、助成金は要件を満たして申請すれば受け取れるものが多いのが違いです。要件を満たしていることを示す書類をそろえる必要があります。要件を一つでも外すと受け取れないので、申請前に細かく確認します。
事業を終えて報告し、検査を受けたあとに補助金が支払われる仕組みのこと。
補助金は原則として後払いです。事業者はまず費用の全額を自分で立て替え、事業の完了後に実績を報告します。その内容が審査され、補助金の額が決まってから入金されます。採択が決まってもすぐにはお金が入らないので、入金までの資金を別に用意しておく必要があります。
後から入るお金が届くまでの間をしのぐために、一時的に借りること。
補助金は後払いで自己負担もあるため、取引のある金融機関からつなぎ融資を受けることがあります。入金予定のお金で返すことを前提にした借入れです。ただし入金が遅れたり、補助金の額が予定より減ったりすると、返済のお金が足りなくなります。入金が確実かどうかを見てから使います。
お金を払ってもらえないときの言葉です。軽い連絡から裁判所の手続きまで、順番に並べています。
商品やサービスを先に渡し、代金をあとで受け取る約束をしたお金のこと。
会社どうしの取引では、月末に締めて翌月末に払うなど、代金をあとで受け取るのが一般的です。売掛金は帳簿上の売上ですが、入金されるまでは手元のお金ではありません。入金が遅れると資金繰りが苦しくなります。相手ごとに期日と残高を管理し、遅れたらすぐ連絡します。
本業以外の取引で、まだ受け取っていないお金と、まだ払っていないお金のこと。
本業の売上でまだ受け取っていないお金は売掛金、本業以外(設備の売却など)でまだ受け取っていないお金は未収金と分けて記録するのが一般的です。払う側から見たものが未払金です。日常では「未払い」をまとめて呼ぶこともありますが、回収の手順は売掛金と同じように考えます。
支払期日をすぎた相手に、支払いをうながすために送る書面のこと。
最初は電話やメールで確認し、それでも払われないときに書面で送るのが一般的です。請求額、もとの期日、新しい支払期日、振込先を書きます。相手がうっかり忘れている場合もあるので、強い言葉は避け、事実を淡々と伝えます。送った日と内容は記録に残しておきます。
督促しても払われないときに、期限を決めて強く支払いを求める書面のこと。
督促状より一段強い書面で、期限までに払われなければ法的手続きに進むことを伝えるのが一般的です。民法では、催告から6か月を経過するまでは時効が完成しないとされています。ただし、その間にもう一度催告しても延びません。時効が近いときは、裁判所の手続きも早めに考えます。
いつ、どんな内容の文書を出したかを、郵便の側で証明してもらう送り方のこと。
郵便法にもとづき、日本郵便が文書の内容を証明する取扱いです。催告書などを内容証明で送ると、あとで「受け取っていない」「そんな内容ではない」と争われたときの証拠になります。ただし内容証明を送っただけで、相手に支払いを強制できるわけではありません。次の手続きへの準備と考えます。
裁判所書記官が、書類の審査だけで相手に支払いを命じる手続きのこと。
相手の住所地を管轄する簡易裁判所の書記官に申し立てます。裁判所に出向かずに進められます。相手が受け取ってから2週間以内に異議を出さなければ、申立てにより仮執行宣言が付き、強制執行を申し立てられます。相手が異議を出すと通常の裁判に移るので、争いがある相手には向きません。
60万円以下のお金の請求を、原則1回の審理で解決をめざす裁判のこと。
簡易裁判所で行う手続きです。最初の期日までに言い分と証拠をすべて出す必要があります。利用は同じ裁判所に1人年10回までです。相手が望めば通常の裁判に移ることがあり、判決に控訴はできず、不服は異議に限られます。分割払いを命じる判決が出ることもあります。
支払いが遅れたときに、遅れた日数に応じて上乗せして請求できるお金のこと。
契約で利率を決めていないときは、法定利率で計算します。法定利率は年3%で、3年ごとに見直す仕組みです。法務省の告示では、2026年4月から2029年3月までも年3%です。契約でこれより高い利率を決めていれば、その利率を使います。損害の証明は不要です。
請求できるのに長いあいだ請求しないと、その権利がなくなること。
民法では、請求できると知った時から5年、または請求できる時から10年、権利を使わないと時効で消えます。売掛金は支払期日を知っているのがふつうなので、5年が目安です。時効は、相手が援用(主張)しないと裁判で認められません。訴えや支払督促、相手の承認で時効を止めたり数え直したりできます。
払う側が「この借りがあります」と認めること。時効がそこから数え直しになる。
民法では、権利の承認があった時から、時効が新たに進み始めるとされています。口頭でも承認になりますが、あとで争いになったときのために、金額と日付の入った書面でもらうのが安全です。支払いの約束や分割の相談を受けたら、残高を認める一文を入れた書面を交わしておきます。
支払期日が来るまでは払わなくてよいという、払う側の権利のこと。
分割払いでは、払う側は各回の期日まで残りを払わなくてよい立場にあります。民法では、期限は債務者の利益のためと推定されます。破産したときなどは、この権利を失います。契約に「2回続けて遅れたら残りを一括で払う」といった喪失の条項を入れておくと、回収の手が打ちやすくなります。
資金繰りが苦しいときに近づいてくる、危ない取引の言葉です。契約の前に確かめます。
個人の給料を受け取る権利を買い取るとして、お金を渡す取引のこと。
金融庁は、業として個人の賃金債権を買い取ってお金を渡し、その個人を通じて回収することは貸金業にあたるとしています。最高裁も2023年2月20日の決定で「貸付け」にあたると判断しました。無登録の業者だと、年率に直すと数百%を超える手数料や、悪質な取り立てにあう危険があります。利用しないでください。
ファクタリングを名乗りながら、実際は売掛金を担保にした貸付けになっている取引のこと。
金融庁は、売掛先が払えなかったときに売主が買い戻す、または自分のお金で払う決まりがある取引は、貸金業にあたるおそれがあるとしています。契約書に「ノンリコース」とあっても、実態で判断されます。買取代金が債権額に比べて著しく低い場合も疑いがあります。契約書の中身を確かめます。
同じ売掛金を、2つ以上の相手に重ねて売ったり担保にしたりすること。
売掛金を譲るときは、売掛先への通知か売掛先の承諾がないと、売掛先や第三者に主張できません。さらに、確定日付のある証書による通知か承諾がないと、ほかの譲受人に対して自分の債権だと主張できません。二重譲渡は契約違反で、業者から責任を問われるもとになります。複数社を使うときは、譲った債権を一覧で管理します。
お金を貸す仕事をするために、財務局や都道府県から受ける登録のこと。
貸金業法では、登録を受けない者は貸金業を営めず、違反は刑事罰の対象です。2つ以上の都道府県に営業所があれば内閣総理大臣(財務局)、1つの都道府県だけなら知事の登録で、3年ごとに更新が必要です。相手が登録業者かどうかは、金融庁の「登録貸金業者情報検索サービス」で調べられます。
手数料などの費用を、借入れの金利と同じ「1年あたり」に直した割合のこと。
ファクタリングの手数料は「◯%」と書かれますが、期間が短いと、年率に直すと大きな数字になります。融資の金利と比べるときは、受け取った額に対する費用を、日数で年に直して見ます。当サイトの計算ツールでは「費用÷受取額×365÷日数」で計算しています。ファクタリングは借入れではありませんが、比べる物差しになります。
貸金業の登録をせずに、法律の上限を超える高い利息で貸す業者のこと。
出資法では、業として年20%を超える利息の契約をすると刑事罰の対象です。年109.5%を超える利息の契約をした場合、消費貸借の契約そのものが無効になると金融庁は説明しています。ファクタリングや給料の買取りを装う手口も確認されています。悪質な取り立てを受けたら、警察(#9110)や金融庁の窓口に相談します。
お互いに払うお金があるとき、その分を差し引いて残りだけを払うこと。
民法では、同じ種類の債務がお互いにあり、どちらも期日が来ていれば相殺できます。売掛先にこちらの買掛金があると、売掛金を差し引かれて入金が減ることがあります。売掛金を譲った場合でも、売掛先は通知などの前に持っていた債権で相殺を主張できます。ファクタリングの前に、売掛先との貸し借りを確かめます。