中小企業が使える資金調達には、どんな方法がある?
中小企業の資金調達は、大きく借りる(融資)、資産を使う(売掛金・在庫・設備)、もらう(補助金)、出資を受けるの四つに分けられます。まずは、お金の使い道と、いつまでに必要かで考えると整理しやすくなります。
| 目的 | 主な方法 | スピードの目安 |
|---|---|---|
| 日々の運転資金 | 公庫・制度融資・銀行プロパー融資 | 公庫は平均3週間程度〜 |
| 急ぎの支払い | 請求書カード払い・ファクタリング・ビジネスローン | 最短即日〜1週間程度 |
| 在庫・売掛金を活かす | ABL・仕入れファイナンス | ABLは1〜3か月 |
| 設備をそろえる | 設備資金の融資・リース・割賦 | リースは1〜3週間 |
| 新しい投資 | 補助金・出資 | 補助金は4か月〜1年 |
一般的に、早く用意できる方法ほど費用が高く、時間がかかる方法ほど費用は軽くなります。急ぎの方法に頼りきりにならないよう、時間のかかる融資を早めに準備しておくことが資金繰りを安定させる基本です。手段ごとの比較は資金調達計画の解説も参考にしてください。
まず検討したいのは、どの融資?
多くの中小企業では、公的な融資と銀行の融資を組み合わせて資金を用意しています。
日本政策金融公庫
国が出資する金融機関で、中小企業や小さな事業者への融資を多く扱っています。審査〜決定は平均3週間程度〜が目安です。
制度融資(信用保証付き)
自治体・金融機関・信用保証協会(借入れを保証する公的機関)が連携する仕組みです。保証が付くため、銀行からも借りやすくなります。一般保証の上限は、普通保証2億円+無担保保証8,000万円の合計2億8,000万円です。(制度融資の解説・信用保証の解説)
銀行プロパー融資
保証を付けずに銀行が直接貸す融資です。黒字・債務超過(負債が資産より多い状態)なし・取引実績が前提になりやすいため、保証付き融資で実績を積んでから相談するのが一般的です。(プロパー融資と保証付き融資の違い)
どの融資を使う場合も、「何に・いくら・いつまでに必要か」と「どう返すか」を説明できることが大切です。
会社の規模によって、いくらくらい借りられる?
運転資金(仕入れ・給料・家賃など、日々の支払いに使うお金)は、月商(1か月あたりの売上)の1〜3か月分が一般的な目安です。月商は年商を12で割って出します。
| 年商(例) | 月商(年商÷12) | 運転資金の目安 |
|---|---|---|
| 3,000万円 | 250万円 | 250万〜750万円 |
| 1億円 | 約833万円 | 約833万〜2,500万円 |
| 5億円 | 約4,167万円 | 約4,167万〜1億2,500万円 |
これは計算上のざっくりした目安です。実際の金額は、利益の額、債務超過でないか、今ある借入れの残高、返済の実績、資金の使い道などで大きく変わります。設備資金は、月商ではなく見積書の金額をもとに考えます。
自社に本当に必要な運転資金は、必要運転資金の計算のように、売掛金+在庫−買掛金から出すと実態に近くなります。借りられる額の上限より、毎月の利益から無理なく返せる額を先に考えることが大切です。
急ぎの資金は、どうやって用意する?
融資は申し込みから入金まで数週間かかるため、「今月末の支払いが足りない」といった場面には間に合わないことがあります。そうした一時的なずれには、次の方法が使われます。
- 請求書カード払い:取引先への請求書をカードで支払い、支払いを最大60日程度先へ延ばします。手数料は1回3%前後です。(請求書カード払いの解説)
- ファクタリング:入金前の売掛金(後で受け取る代金)を売って早めに現金にします。売掛金の70〜95%程度が目安で、手数料は2社間5〜20%/3社間1〜10%程度です。(ファクタリングの解説)
- ビジネスローン:最短1週間程度で借りられることがありますが、金利は年8〜18%程度と高めです。(ビジネスローンの解説)
どの方法も、続けて使うと費用が利益を圧迫します。ファクタリングの手数料は年率に直して比べると、負担の大きさがよく分かります。急ぎの方法で時間を作り、その間に融資を申し込む、という順番で考えるのが基本です。毎月のように急ぎの資金が必要な場合は、運転資金の借入れそのものが足りていない可能性があるので、金融機関に相談してみてください。
在庫・売掛金・設備を使って資金を用意できる?
融資の枠だけに頼らず、事業の中にある資産を使う方法もあります。
- ABL(在庫や売掛金を担保にした融資):在庫の30〜50%・売掛金の60〜80%程度が目安で、手続きに1〜3か月かかります。(ABLの解説)
- 仕入れファイナンス:仕入れ代金の50〜100%を立て替えてもらい、売れてから返す仕組みです。(仕入れファイナンスの解説)
- 将来債権の担保化:継続課金型の事業で、これから受け取る売上を担保にする方法です。継続課金の月商の6〜18か月分程度が目安です。
- リース・割賦:設備価格の80〜100%程度をまかなえ、1〜3週間程度が目安です。(リース・割賦の解説)
新しい設備や販路開拓には、投資額の1/2〜2/3程度を補助する補助金が使える場合もあります。ただし原則後払いで、4か月〜1年かかり、交付決定の前に発注した経費は対象外になる制度が多いので注意が必要です。(補助金の解説)
大きな成長投資を借入れだけでまかなうのが難しい場合は、出資を受ける方法もあります。返済は不要ですが、株主の構成や経営への影響が大きいため、借入れとの違いを理解したうえで検討します。(出資と借入れの違い)
金融機関から信頼される会社になるには?
資金調達のしやすさは、日ごろの準備で大きく変わります。
- 毎月の試算表を作る:今の業績をすぐに示せる会社は、相談が早く進みます。
- 資金繰り表で先の資金を見通す:足りなくなる時期が分かれば、早めに相談できます。
- 借入れの一覧を作る:借入先・残高・金利・返済日をまとめて管理します。
- 決算のたびに銀行へ報告する:良いときも悪いときも、正直に伝えることが信頼につながります。
- 税金・社会保険料の未納をなくす:未納があると融資が難しくなることがあります。
もう一つ大切なのは、困る前に相談することです。資金が底をつきかけてから申し込むと、審査の間に支払い日が来てしまい、費用の高い方法に頼らざるを得なくなります。決算の数字がそろった時期や、大口の受注・設備投資の予定が見えた時点で相談を始めると、選べる方法が広がり、条件の面でも話を進めやすくなります。税務や会計の扱いで迷う点は、税理士などの専門家に確認してください。
準備しておきたい書類・数字
- 直近2〜3期分の決算書
- 毎月の試算表
- 今後6〜12か月の資金繰り表
- 借入れの一覧(借入先・残高・金利・返済額)
- 売掛金・在庫の一覧と主な取引先
- 資金の使い道が分かる見積書・発注書
- 税金・社会保険料の納付が確認できる書類
会社が成長して借入れが増えてくると、信用保証の上限や、銀行プロパー融資への移行を考える段階に入ります。毎月の数字を早く出し、銀行に定期的に報告する習慣を今のうちに作っておくと、次の段階での調達が進めやすくなります。
よくある質問
中小企業はまずどの方法から検討すればよいですか?
年商1億円の会社なら、いくら借りられますか?
黒字なのにお金が足りないのはなぜですか?
信用保証の上限はいくらですか?
- 日本政策金融公庫 融資制度の案内
- 全国信用保証協会連合会 信用保証制度の概要
- 中小企業庁 中小企業施策利用ガイドブック
本ページは一般的な情報提供です。金額・条件は目安で、実際は各金融機関・事業者の審査で決まります。法律・税務は専門家にご確認ください。