年商1,000万円未満だと、いくらくらい調達できる?
運転資金(仕入れや人件費など、日々の支払いに使うお金)を借りるときは、月商(1か月あたりの売上)の1〜3か月分が一つの目安とされています。月商は年商を12で割って出します。
| 年商(例) | 月商(年商÷12) | 運転資金の目安(月商1〜3か月分) |
|---|---|---|
| 300万円 | 約25万円 | 約25万〜75万円 |
| 500万円 | 約42万円 | 約42万〜125万円 |
| 800万円 | 約67万円 | 約67万〜200万円 |
この表は計算上のざっくりした目安です。実際の金額は、黒字かどうか、自己資金の額、借入れの残高、返済の実績、資金の使い道などで大きく変わります。目安より少なくなることも、事業計画が明確で多めに認められることもあります。
また、機械や店舗の改装など設備資金は、運転資金とは別に「見積書の金額」をもとに考えます。創業したばかりの方は、日本政策金融公庫の創業向け融資の考え方も参考にしてください。必要な運転資金をもっと正確に知りたい場合は、必要運転資金の計算で一度数字を出してみると、借りすぎや借り不足を防げます。
最初に相談したいのはどこ?
年商が小さい段階では、民間の銀行よりも公的な融資から相談するのが一般的です。
日本政策金融公庫
国が出資する金融機関で、小さな事業者や創業期の事業者への融資を多く扱っています。審査から融資決定までは平均3週間程度〜が目安です。面談では、売上の見込み、資金の使い道、返済の見通しを自分の言葉で説明できるようにしておきます。
制度融資
自治体・金融機関・信用保証協会(借入れの保証をする公的機関)が連携した仕組みです。自治体によっては利子や保証料の一部を補助してくれます。窓口は市区町村や商工会議所、地元の信用金庫などです。詳しくは制度融資の解説や信用保証の解説をご覧ください。
どちらも「売上が小さいから無理」と決まっているわけではありません。大事なのは、借りたお金で何をして、どう返すのかが筋道立っていることです。
相談の前に、窓口に何を聞くかをメモしておくと話が早く進みます。たとえば「借りたい金額と使い道」「希望する返済期間」「いま残っている借入れ」「売上が落ちた月があればその理由」などです。一つの窓口で難しいと言われても、別の制度が合うこともあります。地域の商工会議所や商工会では、経営や資金の相談に無料で乗ってくれる場合があるので、一人で抱え込まずに頼ってみてください。
入金前に支払いが来て足りないときはどうする?
融資は審査に数週間かかるため、来週の支払いには間に合わないことがあります。そうした一時的なずれには、次のような方法があります。
- 請求書カード払い:取引先への請求書をカードで支払い、支払いを最大60日程度先へ延ばす方法です。手数料は1回3%前後が目安です。(請求書カード払いの解説)
- ファクタリング:まだ入金されていない売掛金(後で受け取る代金)を売って、早めに現金にする方法です。売掛金の70〜95%程度が資金化の目安で、手数料は2社間(取引先に知らせない形)で5〜20%、3社間(取引先も関わる形)で1〜10%程度です。(ファクタリングの解説)
注意したいのは、ファクタリング会社の中には法人専用のところがあることです。また、一般の消費者(個人のお客様)向けの売掛金は、対象外になるのが一般的です。手数料を年率に直すと高くなることもあるので、年率換算の計算で確かめてから使いましょう。これらはあくまで「一時しのぎ」で、毎月続けると利益を削ります。
補助金は小さな事業者でも使える?
小規模な事業者を対象にした補助金は多く、販路開拓、ホームページ作成、設備導入などに使えるものがあります。一般的に、投資額の1/2〜2/3程度が補助され、上限額は制度によって違います。
ただし、補助金には次の特徴があります。
- 原則として後払い。先に自分でお金を払い、あとで補助分が戻ってくる
- 申請から入金まで4か月〜1年程度かかる
- 採択(選ばれること)されないこともある
また、交付が決まる前に契約・発注した経費は、対象外になる制度が多いので注意が必要です。そのため「補助金が出るまでの支払い」を、自己資金や公庫・制度融資でまかなう計画が必要です。募集時期や条件は年ごとに変わるので、最新の公募要領を確認し、分からない点は商工会議所や専門家に相談してください。(補助金・助成金の解説)
実際にはどう組み合わせて考える?
年商500万円で、店舗を営む事業者の場合(例)を考えてみます。月商は約42万円です。
- 毎月の支払いに少し余裕がほしい → 公庫や制度融資で運転資金を相談。目安は月商の1〜3か月分なので、約42万〜125万円
- 厨房機器を入れ替えたい → 運転資金とは別に、見積書をもとに設備資金として相談するか、リース・割賦で設備価格の80〜100%程度をまかなう
- 販路を広げるチラシやホームページを作りたい → 補助金の対象になるかを確認。ただし後払いなので、立て替えるお金を先に用意する
- 今月だけ仕入れ代金の支払いが入金より先に来る → 請求書カード払いで支払いを最大60日程度先へ延ばす
このように、使い道ごとに方法を分けると、金利や手数料の高い方法に頼りすぎずにすみます。反対に、すべてを一つの借入れでまかなおうとすると、必要以上に借りて返済が重くなったり、急ぎの方法に頼り続けたりしがちです。
大切なのは「いくら借りられるか」よりも「毎月いくらなら無理なく返せるか」です。毎月の利益から生活費や税金を引いた残りで、返済額をまかなえるかを先に確かめましょう。返済が苦しくなりそうなら、借りる額を減らすか、返済期間を長くできないかを窓口で相談します。
審査の前に整えておきたいことは?
売上が小さい事業者ほど、「数字の分かりやすさ」と「信用」が審査で効いてきます。
- 確定申告書・決算書をそろえる:直近2期分があると説明しやすくなります。
- 税金や社会保険料の未納をなくす:未納があると融資が難しくなることがあります。
- カードやローンの延滞をしない:個人の信用情報も見られることがあります。
- 資金の使い道を具体的にする:「何に・いくら・いつ」を見積書などで示します。
- 月ごとの入出金の予定表を作る:返済できる根拠になります。
あわせて、事業用と個人用の口座を分けておくと、お金の流れが見えやすくなります。帳簿をつけていない場合は、まず通帳と領収書から月ごとの売上と経費を整理するところから始めましょう。数字を自分で説明できると、窓口での面談がぐっと進めやすくなります。資金計画の立て方は資金調達計画の解説も参考にしてください。
準備しておきたい書類・数字
- 直近2期分の確定申告書または決算書
- 今期の月ごとの売上・経費が分かる資料
- 資金の使い道が分かる見積書
- 今後6か月程度の入出金の予定表
- 借入れ残高と毎月の返済額の一覧
- 税金・社会保険料の納付が確認できる書類
- 事業用の通帳(入出金の記録)
年商が1,000万円を超えてくると、制度融資の金額や使える方法の幅が広がります。公庫や制度融資を予定どおり返済した実績は、次の借入れでの信用になるので、返済の記録を大切にしてください。
よくある質問
年商500万円でも融資は受けられますか?
個人事業主でもファクタリングは使えますか?
補助金だけで資金をまかなえますか?
赤字でも借りられますか?
- 日本政策金融公庫(国民生活事業)融資制度の案内
- 全国信用保証協会連合会 信用保証制度の概要
- 中小企業庁 中小企業施策利用ガイドブック
本ページは一般的な情報提供です。金額・条件は目安で、実際は各金融機関・事業者の審査で決まります。法律・税務は専門家にご確認ください。