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医療・介護・保育の事業所は、なぜ開業や拡大のときにお金が足りなくなる?

資金繰り総研 編集部 ・ 更新 2026.10.14 ・ 約4分で読めます
よくある悩みSTEP 1
向いている方法STEP 2
自社でいくら?STEP 3

医療・介護・保育の事業は、利用者さまの数が安定すれば収入も安定しやすい一方で、公的な報酬の入金はサービスを提供してから時間がかかります。開業や新しい施設を開くときは、収入が入る前に人件費や設備のお金が出ていくため、資金繰りがもっとも苦しくなります。このページでは、その仕組みと向いている調達方法、準備のポイントをまとめます。

このページが合う会社診療所・歯科医院などの医療機関、訪問介護・通所介護などの介護事業所、保育施設を運営している、またはこれから開業・拡大する事業者

WORRIESよくある悩み

開業から入金までの数か月がつらい

報酬の入金前に給与を払う必要がある

医療機器や改修に大きなお金がかかる

人手不足で採用費や人件費が増えた

新しい施設を開く資金が足りない

METHODS向いている方法(向いている順)
1
借りる ・ 3〜6週間 ・ 金利(年数%・審査で異なる)日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は開業間もない医療機関や介護事業所でも相談しやすく、開業資金・運転資金・設備資金に使えます。審査に数週間かかるため、開業の計画段階から相談するのが向いています。

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2
借りる ・ 1〜2か月 ・ 金利(制度・審査で異なる)+保証料制度融資(信用保証つき)

信用保証協会の保証付きで、運転資金を借りやすい手段です。報酬の入金までの数か月分の人件費などをまかなうのに向いています。対象となる業種は制度ごとに確認が必要です。

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3
後払い ・ 1〜3週間 ・ 実質年3〜8%リース・割賦

医療機器や介護用の設備、送迎の車両を、一括で買わずに月々の支払いに分けられます。開業時の手元のお金を運転資金に残しておけます。

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4
もらう ・ 4か月〜1年 ・ なし(返済不要・後払い)補助金・助成金

介護・保育の分野では、施設の整備や設備の導入に国や自治体の補助金が用意されていることがあります。原則後払いなので、つなぎの資金は別に用意します。

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5
売る ・ 最短即日〜数日 ・ 2社間 5〜20%/3社間 1〜10%ファクタリング

診療報酬や介護報酬など、請求済みの報酬を入金日より前に資金化する方法です。開業直後や急な支出のつなぎとして使われますが、手数料がかかります。

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6
借りる ・ 2〜6週間 ・ 金利(年数%・審査で異なる)銀行のプロパー融資

経営が安定し、黒字で取引実績がある事業者なら、拡大や建て替えの資金について銀行と直接相談できることがあります。

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慎重に考えたい方法
ビジネスローン

早く借りられる一方で金利が高めです。人件費のように毎月出ていくお金に使い続けると返済が重くなるため、短期のつなぎに限るのが無難です。

エクイティ(出資)

医療法人は株式を発行する仕組みではなく、株式会社のような出資による調達は基本的にできません。介護・保育でも、まず融資や補助金を検討するのが一般的です。

HOW MUCH調達額の目安
方法・項目目安補足
日本政策金融公庫事業規模・計画による開業時は数百万〜1,500万円程度が多い。運転資金の目安は月商の1〜3か月分
制度融資(運転資金)月商の1〜3か月分が目安信用保証協会の保証付き。対象業種は制度ごとに確認
リース・割賦設備価格の80〜100%医療機器・介護設備・車両など。1〜3週間程度
補助金投資額の1/2〜2/3程度上限は制度による。原則後払いで、4か月〜1年程度
報酬債権の資金化(ファクタリング)債権の70〜95%程度条件は会社ごとに違う。手数料を事前に確認

一般的な目安です。実際の金額・条件は審査や契約で決まります。

自社の数字で、いくら調達できるか試算する調達戦略シミュレーター(約3分・登録不要)。このページの条件を入れた状態で始まります。
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医療・介護の報酬は、なぜ入金まで時間がかかるの?

医療機関や介護事業所の収入の多くは、患者さま・利用者さまから直接いただく自己負担の分ではなく、公的な保険から支払われる報酬です。この報酬は、一般的に次のような流れで入金されます。

  1. サービスを提供する:診療や介護サービスを1か月分行います。
  2. 翌月の決められた期日までに請求する:1か月分をまとめて、審査と支払いを行う機関へ請求します。
  3. 審査を経て入金される:請求した内容が審査された後に支払われます。

この流れのため、診療報酬・介護報酬の入金は、請求からおおむね2か月後(サービスを提供した月から数えると、さらに後)になるのが一般的なパターンです。正確な締め日や支払日は、請求先の機関や保険の種類によって違うため、各機関の案内で確認してください。

また、請求の内容に不備があると、差し戻し(返戻)になり、その分の入金がさらに遅れることがあります。

保育施設の場合も、国や自治体から支払われるお金が収入の中心になることが多く、支払いの時期は自治体の取り決めによって違います。いずれの事業でも、サービスを提供してから入金までの間、人件費などを立て替える期間があると考えておきましょう。

開業のとき、なぜ一番お金が足りなくなるの?

医療・介護・保育の事業で、資金繰りが一番苦しくなるのは開業の直後です。理由は3つあります。

  • 開業前に大きな支出がある:建物の改修や内装、医療機器や介護設備、車両の購入などに、まとまったお金がかかります。
  • 開業前から人件費がかかる:スタッフの採用や研修は、開業より前に始める必要があります。
  • 開業しても、報酬の入金は数か月後:上で説明したとおり、最初の報酬が入金されるまでには時間がかかります。しかも開業直後は、患者さまや利用者さまの数が少ないのが一般的です。

つまり、開業時には「設備のお金」と「収入が安定するまでの運転資金」の両方を用意する必要があります。設備のお金だけで計画を立てると、開業後に運転資金が足りなくなることがあります。

開業の資金計画では、利用者さまの数が少しずつ増えていく前提で、収入が支出を上回るまでの月数を見込み、その間の不足分を運転資金として用意しておくと安心です。どれくらいの期間で利用者さまが増えるかは地域や事業によって大きく違うため、慎重めに見積もりましょう。

医療・介護・保育に向いている調達方法はどれ?

開業・運転資金は、公的な融資を中心に

日本政策金融公庫は、開業間もない事業者でも相談しやすく、設備資金と運転資金の両方に使えます。制度融資は信用保証協会の保証付きで運転資金を借りやすい手段ですが、保証の対象になる業種かどうかは制度ごとに確認が必要です。このほか、医療・福祉の分野には、独立行政法人福祉医療機構による融資の制度もあります。対象や条件は公式の案内で確認してください。

設備は、リースや補助金を組み合わせる

医療機器や介護設備、送迎の車両は、リース・割賦を使うと一括の支払いを避けられます。介護・保育の施設の整備や設備の導入には、国や自治体の補助金が用意されていることもあります。補助金は原則として後払いなので、いったん全額を立て替える資金が必要です。

報酬の入金を待てないときは、報酬債権の資金化

請求済みの診療報酬や介護報酬を、入金日より前に資金化するファクタリングもあります。開業直後や急な支出のつなぎとして使われますが、手数料の分だけ収入が減るため、毎月使い続けるのは避けたいところです。条件は会社ごとに違うので、契約の前によく確認しましょう。

人件費が重いとき、どう考えればいい?

医療・介護・保育は、支出の大きな割合を人件費が占める事業です。しかも、利用者さまの数に関わらず、決められた人数のスタッフを置く必要がある場合もあります。

  • 人員の基準と利用者さまの数のつり合いを見る:利用者さまが少ない時期でも、基準を満たす人数のスタッフが必要です。開業直後の赤字はこれが原因になりやすいです。
  • 採用の費用も計画に入れる:人手不足の中では、求人広告や紹介会社への手数料が大きくなることがあります。
  • 処遇改善の加算など、報酬の仕組みを確認する:スタッフのお給料の改善に使える加算の仕組みがある場合があります。内容は制度の案内や専門家に確認してください。
  • 賞与や社会保険料の支払い月を資金繰り表に入れる:まとまった支払いになる月を前もって把握しておきます。

人件費は遅らせることができない支払いです。報酬の入金日とお給料の支払日の差を資金繰り表で確認し、足りない月があれば早めに手当てしておきましょう。

融資の相談の前に、何を準備すればいい?

医療・介護・保育の開業や拡大で融資を相談するときは、収入の見込みが現実的かどうかがよく見られます。一般的には、次のような点を説明できるようにしておくとよいでしょう。

  • 地域の需要:開業する地域の人口や年齢の構成、近くにある同じ種類の施設の状況など、利用者さまが見込める理由。
  • 利用者さまの増え方の見込み:開業から何か月で、どれくらいの人数になる見込みか。根拠となる考え方も添えます。
  • スタッフの確保:必要な資格を持つ人を、開業までに確保できる見通しがあるか。
  • 経歴と経験:院長や管理者として、これまでどのような経験を積んできたか。
  • 自己資金:自分で用意できるお金がどれくらいあるか。

事業計画では、収入は控えめ、支出は多めに見積もっておくと、計画どおりに進まなかったときにも慌てずにすみます。計画の立て方は資金調達計画のページ、運転資金の考え方は必要運転資金の計算ページも参考になります。

日ごろからできる、資金繰りを楽にする工夫は?

  • 請求の不備を減らす:差し戻しになると入金が遅れます。請求の前の確認の流れを決めておきましょう。
  • 自己負担分の未収を減らす:患者さま・利用者さまからいただく自己負担分の支払いが遅れていないか、定期的に確認します。
  • 設備投資と運転資金を分けて考える:設備の購入に運転資金を使うと、お給料を払うお金が足りなくなることがあります。
  • 報酬の改定の時期を意識する:診療報酬や介護報酬は定期的に見直されます。収入の見込みが変わるため、改定のたびに計画を見直しましょう。
  • 月ごとの数字を整える:利用者さまの数、報酬の請求額、人件費を毎月記録しておくと、融資の相談がしやすくなります。

医療・介護・保育は、法律や制度の決まりが多い分野です。報酬の請求、補助金、法人の形などの細かい点は、税理士・社会保険労務士・行政書士などの専門家や、所管の窓口に確認しながら進めてください。

準備しておきたい書類・数字

  • 開業または拡大の事業計画書(利用者さまの数の見込みを含む)
  • 設備・改修の見積書
  • 報酬の請求額と入金額の月ごとの記録
  • 人員の配置計画と人件費の見込み
  • 直近の決算書(開業済みの場合)
  • 資金繰り表(入金までの期間を反映したもの)
次の段階へ進むときは

利用者さまの数が安定してきたら、開業時の借入れの返済と、次の設備の入れ替えや新しい施設の計画を合わせて見直しましょう。報酬の改定があったときも、収入の見込みを作り直すタイミングです。

よくある質問

診療報酬や介護報酬は、いつ入金されますか?
一般的なパターンとして、1か月分のサービスを翌月の期日までにまとめて請求し、入金は請求からおおむね2か月後になります。正確な締め日や支払日は、請求先の機関や保険の種類によって違います。開業時はこの期間の運転資金を忘れずに見込んでおきましょう。詳しくは各機関の案内を確認してください。
開業資金はいくらくらい用意すればいいですか?
事業の種類や規模、地域によって大きく違うため、一律の金額はありません。設備や改修のお金に加え、報酬の入金と利用者さまの数が安定するまでの運転資金を見込むのが一般的です。運転資金は月の支出の数か月分を目安に、慎重めに計画し、公庫や専門家に相談しながら決めてください。
報酬債権のファクタリングは使っても大丈夫ですか?
請求済みの報酬を早めに資金化する方法として使われていますが、手数料の分だけ収入は減ります。開業直後や一時的な不足のつなぎとして使い、毎月の資金不足には融資で備えるのが無難です。契約の条件や仕組みは会社ごとに違うため、契約前に内容を確認し、必要に応じて専門家に相談してください。
医療法人は出資を受けて資金を集められますか?
医療法人は株式を発行する仕組みではないため、株式会社のような出資による資金調達は基本的にできません。そのため、公的な融資、銀行の融資、リース、補助金などを組み合わせるのが一般的です。法人の形による違いは、税理士や行政書士などの専門家に確認してください。
出典・参考
  • 日本政策金融公庫 融資制度の案内
  • 独立行政法人福祉医療機構 融資制度の案内
  • 全国信用保証協会連合会 信用保証制度の概要
  • 厚生労働省 診療報酬・介護報酬に関する資料

本ページは一般的な情報提供です。金額・条件は目安で、実際は各金融機関・事業者の審査で決まります。法律・税務は専門家にご確認ください。

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