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IPO・M&Aの準備中、資金調達で何に気をつける?

資金繰り総研 編集部 ・ 更新 2026.10.14 ・ 約4分で読めます
よくある悩みSTEP 1
向いている方法STEP 2
自社でいくら?STEP 3

上場や会社の売却が見えてきた。ここからは、お金を集めることに加えて、これまでの資金調達が「どう見られるか」も問われます。準備期間には、監査や管理体制づくりなど新しい費用もかかります。このページでは、IPO・M&Aの準備期間に資金調達で気をつけたい点をまとめます。

このページが合う会社上場(IPO)や会社の売却(M&A)を視野に入れ、準備を始めた段階の会社

WORRIESよくある悩み

上場準備にどれだけ費用がかかるか不安

上場前の出資の株価をどう決めるか

既存の借入が売却の妨げにならないか

管理部門の採用でお金が足りない

過去の契約が審査で問題にならないか

METHODS向いている方法(向いている順)
1
借りる ・ 2〜6週間 ・ 金利(年数%・審査で異なる)銀行のプロパー融資

黒字・債務超過なし・取引実績が前提になりやすい融資です。上場準備の段階では財務が整っていることが多く、銀行との安定した取引は資金繰りの説明にも役立ちます。

くわしく →
2
出資 ・ 3〜6か月 ・ 株式(持分)を渡すエクイティ(出資)

上場前の出資(プレIPO)で、管理体制づくりや成長投資の資金を集めます。数億円が一つの目安ですが、株価が上場後の評価と比べられる点に注意が必要です。

くわしく →
3
借りる ・ 1〜2か月 ・ 金利(制度・審査で異なる)+保証料制度融資(信用保証つき)

信用保証協会の保証は一般保証で合計2億8,000万円が上限です。銀行との取引を広げる段階で、保証付き融資を組み合わせることがあります。

くわしく →
4
借りる ・ 1〜3か月 ・ 年5〜15%+新株予約権などベンチャーデット

VCから出資を受けた会社向けの融資で、1,000万〜1億円程度が目安です。上場や売却までのつなぎに使われますが、新株予約権の扱いを資本政策に入れておく必要があります。

くわしく →
5
後払い ・ 1〜3週間 ・ 実質年3〜8%リース・割賦

管理部門の増員に伴うパソコンや業務システム、設備は、設備価格の80〜100%をリースで賄えます。手元資金を準備費用に残しやすくなります。

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慎重に考えたい方法
ファクタリング

2社間の手数料は5〜20%程度です。準備期間に頼りすぎると、上場審査や買い手の調査で資金繰りの安定性を問われやすくなります。

ビジネスローン

年8〜18%程度と金利が高めです。高いコストの短期資金に頼る状態は、準備期間の財務として説明が求められやすくなります。

STAGE MAPほかの段階と比べると
◎特に向く○向く△条件しだい×使いにくいマスを押すと理由が出ます

← 表は横にスクロールできます →

借りる売る後払い返さない
会社の段階 \ 方法日本政策金融公庫制度融資銀行融資ビジネスローンABL将来の売上を担保ベンチャーデットファクタリング請求書カード払いリース仕入れファイナンス分割払い出資補助金
創業前・創業期創業前〜2年目
成長期売上が伸び、運転資金が足りない
安定期黒字・設備の更新や借入の見直し
立て直し期赤字・返済が苦しい
事業承継・売却後継者・M&A
プレシード構想・創業前後
シードプロダクト検証・最初の顧客
シリーズA事業が伸び始める
シリーズB以降拡大期
IPO・M&A準備上場・売却の準備
マスを押すと、その段階でその方法が向いている理由・向かない理由が出ます。

一般的な目安(資金繰り総研 編集部の判断)です。実際に使えるかは、会社の状況と各社・各機関の審査で決まります。

HOW MUCH調達額の目安
方法・項目目安補足
上場前の出資(プレIPO)数億円が一つの目安事業による。準備から入金まで3〜6か月
信用保証協会の保証付き融資一般保証の上限は合計2億8,000万円普通保証2億円+無担保保証8,000万円
ベンチャーデット1,000万〜1億円程度年5〜15%+新株予約権などが目安
リース・割賦設備価格の80〜100%1〜3週間が目安

一般的な目安です。実際の金額・条件は審査や契約で決まります。

自社の数字で、いくら調達できるか試算する調達戦略シミュレーター(約3分・登録不要)。このページの条件を入れた状態で始まります。
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IPOとM&Aでは、資金面の準備はどう違う?

スタートアップの出口(投資家が投資したお金を回収する方法)には、主にIPO(株式を証券取引所に上場すること)とM&A(会社をほかの会社に売却すること)があります。どちらを目指すかで、資金面の準備も変わります。

比べる点IPOM&A
誰が会社を見るか証券会社・証券取引所・監査法人買い手の会社とその専門家
主に見られる点管理体制、会計の正しさ、継続して事業を続けられるか事業の価値、借入や契約に隠れた問題がないか
資金面の課題準備期間の費用と、それを支える手元資金借入や投資契約が売却の妨げにならないか

共通して言えるのは、これまでの資金調達の記録がすべて確認されることです。誰からいくら集めたか、どんな条件の契約を結んだか、借入の担保や保証はどうなっているか。記録が整理されていないと、準備に時間がかかります。まずは、出資・借入・新株予約権の契約書を1か所にまとめ、一覧にしておきましょう。

上場準備の期間には、どんなお金がかかる?

上場を目指す場合、準備期間には事業以外の費用が増えます。主なものは次のとおりです。

  • 監査の費用:上場の申請には、監査法人による監査を受けた決算が求められます。監査を受け始める前に、会計の処理を見直す作業が必要になることもあります。
  • 証券会社とのやり取り:上場の手続きを中心になって支える証券会社(主幹事証券)の審査に対応します。
  • 管理部門の強化:経理、法務、労務などの担当者の採用や、外部の専門家への依頼が増えます。
  • 内部管理の体制づくり:社内の決まりの整備、業務の手順、承認の流れなどを作ります。
  • システムの導入:会計や勤怠、契約の管理などのシステムを整えます。

費用の額は会社の規模や準備の状況で大きく変わるため、このページでは具体的な金額は示しません。監査法人や証券会社と早めに話し、見積もりを取ったうえで、準備期間の資金繰り表に組み込みましょう。

注意したいのは、準備期間が予定より延びることがある点です。審査の過程で課題が見つかると、上場の時期が後ろにずれます。資金繰りは、上場が遅れた場合でも事業を続けられるよう、余裕を持って計画してください。

上場前の出資(プレIPO)で、気をつけることは?

上場の直前に受ける出資をプレIPOと呼ぶことがあります。管理体制づくりや成長投資の資金を集める目的で行われます。

この段階で特に意識したいのが資本政策(誰に、いつ、どれだけ株を渡すかの計画)です。上場後は、株を売買する市場の評価によって株価が決まります。上場前の出資の株価が、上場後の評価と比べて高すぎると、出資した投資家が損をすることになり、関係が難しくなります。反対に低すぎると、必要以上に株を渡すことになります。

このほか、次の点も確認しておきましょう。

  • 上場前の株の移動:上場の直前に株を渡したり譲ったりした場合、その経緯や株価の決め方について説明を求められることがあります。
  • ストックオプション:社員や役員に渡したストックオプションの数や条件が、資本政策と合っているか。
  • 優先株式の扱い:上場の際、優先株式を普通株式に切り替える手続きが必要になることがあります。
  • 株主の構成:反社会的勢力との関係がないかなど、株主について確認されます。

上場の審査の基準や手続きは証券取引所の規則によるため、主幹事証券や専門家に確認しながら進めてください。

M&Aを考えるとき、借入や契約はどう見られる?

会社の売却では、買い手がデューデリジェンス(買う前に会社の中身を詳しく調べること)を行います。資金調達に関係して、よく確認されるのは次の点です。

  • 支配権の変更に関する条項:会社の株主が変わったときに、貸し手が一括返済を求められる、取引先が契約を解除できる、といった取り決めです。借入や重要な取引の契約に入っていないか確認しましょう。
  • 経営者の個人保証:創業者が借入の保証人になっている場合、売却後に保証をどう外すかが課題になります。
  • 新株予約権:ベンチャーデットやJ-KISSなどで発行した新株予約権が残っていると、売却の価格の分け方に影響します。
  • 優先株式の優先分配:売却額が投資家に先に分配され、普通株を持つ創業者や社員の受け取りが想定より少なくなることがあります。

こうした点は、売却の交渉が始まってから見つかると、価格の引き下げや交渉の中断につながることがあります。売却を考え始めた段階で、既存の契約を見直しておくと安心です。法律や税務の扱いは、M&Aに詳しい専門家に確認してください。

準備期間の資金繰りで、避けたいことは?

IPOでもM&Aでも、準備期間の資金繰りは「安定しているか」が見られます。次のような状態は、説明が求められやすくなります。

  • 高いコストの短期資金に頼る:ファクタリング(2社間で手数料5〜20%程度)やビジネスローン(年8〜18%程度)を繰り返し使っていると、資金繰りの不安と見られることがあります。
  • 役員や関係者との貸し借り:社長個人や関係会社とのお金の貸し借りは、整理しておくことが求められやすい点です。
  • 記録のない入出金:契約書のない借入や、使い道の分からない支出は、調査で確認の対象になります。

準備期間に入ったら、月次の決算を早く正確に締めることを習慣にしましょう。資金繰り表と実績を毎月比べ、ずれの理由を説明できるようにしておくと、審査や買い手の調査にも対応しやすくなります。資金の組み立てに迷ったら、資金調達計画の立て方も参考にしてください。

上場や売却が予定より遅れたら、資金はどうする?

上場の時期や売却の交渉は、会社の都合だけでは決まりません。審査で課題が見つかる、市場の状況が変わる、買い手との条件が合わない、といった理由で、予定が後ろにずれることがあります。そのとき手元資金が足りないと、不利な条件での資金調達を迫られます。

遅れに備えて、次の準備をしておきましょう。

  • 遅れた場合の資金繰り表を作る:予定どおりの場合だけでなく、時期がずれた場合でも事業を続けられるかを確認します。
  • 銀行との取引を保っておく:上場や売却を前提にせず、通常の運転資金を借りられる関係を作っておくと、つなぎの資金を相談しやすくなります。
  • 既存の投資家と話しておく:遅れた場合に追加の出資を相談できるか、事前に考えを聞いておきます。
  • 費用の優先順位を決める:準備の費用と事業の投資のうち、何を先に削るかを決めておきます。

出口の時期を急ぐあまり、高いコストの資金で無理につなぐと、かえって審査や交渉で不利になることがあります。余裕を持った計画が、結果として出口への近道になります。

準備しておきたい書類・数字

  • これまでの出資・借入・新株予約権の契約書の一覧
  • 資本政策表(ストックオプション・優先株式を含む)
  • 既存の借入の一覧(担保・保証・支配権の変更に関する条項)
  • 役員・関係会社との取引の一覧
  • 直近の決算書と月次の試算表
  • 上場準備・売却準備の費用の見積もり
  • 上場や売却が遅れた場合を含む資金繰り表
次の段階へ進むときは

上場や売却が決まったあとも、資金の管理は続きます。上場後は市場からの調達や開示の義務が加わり、売却後は買い手の方針に沿った資金管理に変わります。それぞれの段階で、借入の条件と資金繰りの体制を改めて見直しましょう。

よくある質問

上場準備には、どのくらいの期間がかかりますか?
会社の管理体制や会計の状況によって大きく変わります。上場の申請には監査法人の監査を受けた決算が求められるため、監査を受け始める時期から逆算して計画するのが一般的です。具体的な期間は、主幹事証券や監査法人と相談して見積もりましょう。
上場前に借入があると、審査で不利になりますか?
借入があること自体が問題になるとは限りません。見られやすいのは、返済の見通しが立っているか、高いコストの短期資金に頼っていないか、契約の内容が整理されているかといった点です。借入の一覧と条件をまとめ、説明できるようにしておきましょう。
会社を売却すると、借入はどうなりますか?
契約によって異なります。株主が変わったときに一括返済を求められる条項がある場合もあれば、そのまま引き継がれる場合もあります。経営者の個人保証の扱いも課題になります。売却を考え始めた段階で、契約書を確認し、専門家に相談してください。
上場前の出資の株価は、どう決めればいいですか?
上場後に市場がつけると考えられる評価や、これまでの出資の株価との関係を踏まえて決めるのが一般的です。高すぎても低すぎても、出資者や既存株主との関係に影響します。株価の考え方や手続きは、主幹事証券や専門家に確認しながら進めてください。
出典・参考
  • 日本取引所グループ 上場審査に関する規則・ガイドブック
  • 全国信用保証協会連合会 信用保証制度の概要
  • 中小企業庁「中小M&Aガイドライン」
  • 経済産業省「スタートアップ育成5か年計画」

本ページは一般的な情報提供です。金額・条件は目安で、実際は各金融機関・事業者の審査で決まります。法律・税務は専門家にご確認ください。

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